ケイカル板

監修:日本インシュレーション株式会社

ケイカル板とは

ケイカル板は、正式には「ケイ酸カルシウム板」と呼ばれる建築資材です。

ケイ酸カルシウムを主成分とし、補強材として繊維を混ぜて製造されます。かつてはアスベストが使われていましたが、現在はノンアスベスト繊維が主です。

ケイカル板はJIS A 5430「繊維強化セメント板」において「けい酸カルシウム板」として規定されている建築資材で、主として建物の内装に用いられるタイプ2と、主に柱・はり等の耐火被覆に用いられるタイプ3があります。

ケイカル板は優れた耐火性、断熱性、寸法安定性を持ち、軽量で加工もしやすいため、建築現場で幅広く利用されています。特に日本では建築基準法により、防耐火の規制による不燃材使用や耐火構造の適用が必要となることが多く、ケイカル板はその基準を満たす材料として定着しています。また、ケイカル板は吸湿性もあるため、石膏ボードでは不向きな結露対策や湿気の多い場所にも使いやすい建築資材です。

ケイカル板の使用用途

ケイカル板はその多機能性から、さまざまな用途に使われています。代表的な使用例は以下のとおりです。

1. 天井材・壁材としての使用

JIS A 5430タイプ2のケイカル板は、住宅やビルの内装仕上げ材として使われることが多く、特に防火耐火性が求められる間仕切り壁や天井に使いやすい資材です。不燃性であるため、火災時にも延焼を防ぐ効果があります。また、タイプ3のケイカル板は加工しやすく、柱・はりの耐火被覆材のほか、モルダーで切削加工を施したデザインパネルなどに使用されています。

2.柱・はりの耐火被覆材

物流施設やオフィスビルなどの鉄骨造建物の柱・はりが火災で損傷しないように、タイプ3ケイカル板で被覆する工法が、建築基準法の耐火構造認定として認められています。また免震装置の耐火被覆材としても多く使用されています。

3. ダクトや配管周りの耐火被覆材

空調ダクトや電気配線が通るシャフト内の防火区画貫通部など、火災時の延焼リスクがある箇所はケイカル板が貫通孔のふさぎ板として多く使われる場所です。タイプ3のケイカル板は1000℃の耐熱性があり、延焼防止に貢献します。

4. 断熱材としての利用

熱を伝えにくい性質から、ボイラー室や工場の熱源周辺の断熱材としても使われます。耐熱性と断熱性の両方を兼ね備えているのが多く選ばれる理由です。かさ密度130kg/㎥程度の、より軽量で断熱性能に優れた「けい酸カルシウム保温材」 (JIS A 9510) もあります。

5. プレハブ建築

プレハブ建築の壁材なども、ケイカル板が使われる領域です。軽量であること、断熱性もあり火災リスクも低減できるなどの利点から、工場、プレハブ住宅、モジュラーハウスなどに使用されています。

本記事はケイカル板を製造・販売する日本インシュレーション株式会社様に監修を頂きました。

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