葉面散布剤

葉面散布剤とは

葉面散布剤とは、農業で用いられる肥料の1種です。

一般的に植物は、土壌中の根から成長に必要な養分を吸収しますが、葉面からも養分を吸収することができます。この性質を利用したのが葉面散布剤です。

葉面散布剤を植物の葉に散布すると、植物が直接的に養分を吸収できるようになります。また、植物が弱っていたり、根にダメージがあったりする場合、根が十分に機能せずに必要な養分を根から吸収できないことがあります。その際、吸収が早く即効性の高い液肥である葉面散布剤が有効です。

葉面散布剤の使用用途

葉面散布剤は、植物の葉面に肥料を施すために使用されます。葉面散布剤の使用方法は、希釈した葉面散布剤を噴霧器等の機械を用いて散布するのが一般的です。

また、特定の植物の葉面に局所的に散布したい場合には、葉面散布剤を霧吹きに入れて、散布します。葉面散布剤を散布するタイミングは、早朝がよいと言われています。朝は植物の活動が活発になり、植物が効率よく養分を吸収できるためです。

もう1つの理由として、日射しが強い時に葉面散布剤を散布してしまうと、葉面散布剤の水分が乾燥して葉面で養分濃度が高くなりすぎてしまい、植物に障害が出てしまう可能性があることが挙げられます。それを避けるために、日射しがまだ強くない早朝に散布するのがよいとされています。

気温が30℃を超えているときは、葉面散布剤の使用を控えた方が無難です。また、雨の日は散布した葉面散布剤が流れ落ちてしまい効果が無くなってしまうので、雨の日の散布も控えることをおすすめします。

葉面散布剤の特徴

長所

葉面散布剤の長所は、水で希釈して使用するため、農薬も同時に希釈し混用すると、防除と追肥を同時に行えることです。しかし、使用する薬剤によって混用ができないものもあります。

また、即効性が高い点も長所の1つです。台風や豪雨などで作物が弱っているときは、葉面散布剤を使用すると、立ち直りが早くなります。このとき、防除も同時に行うと病気の予防にもつながります。

短所

葉面散布剤の短所は、希釈倍率を間違えて濃度が高くなってしまうと、作物に薬害を及ぼし、場合によっては枯れてしまう場合があることです。そのため、使用する際は希釈濃度に十分注意しなくてはなりません。

また、土壌に追肥するよりも効果が切れるのが早いという短所もあります。ただし、土壌への追肥とバランスよく使用することでより効果が期待できます。

葉面散布剤の選び方

作物が養分を吸収出来る量は、もっとも不足している栄養素によって影響を受けます。つまり1つの栄養素が不足しており、他の栄養素が十分にある状態でも、作物が吸収できる養分は不足している栄養素の量で決まってしまうということです。

栄養素のバランスを整えることが重要であるため、不足している養分を補える葉面散布剤を選ぶ必要があります。酸性土壌ではマグネシウムやカルシウムなどが作物に吸収されにくく、アルカリ性土壌では鉄、亜鉛マンガンなどが吸収されにくいとされています。

吸収されにくい栄養素を葉面散布剤で補給するのが効果的であるため、薬剤選びのために土壌のpHを測定することも有効です。

1. 日照不足で作物に元気が無い場合

梅雨時期など日照不足になると光合成量が減り、作物の成長が鈍くなります。このようなときは、アミノ酸を含む葉面残布剤が適しています。

2. 着果時期や花芽分化時期に該当する場合

果菜類の着果時期や花卉類の花芽分化時期はリン酸カリウムが多く要求されます。この時期に葉面散布剤でリン酸やカリウムを補給すると効果的です。

また、収穫時期も肥料を多く要求される時期なので、葉面散布剤を使用すると肥料切れ対策にもなります。

3. 葉の色が薄い・葉先が枯れている場合

葉の色が黄色くなっていたり、葉先が枯れたりしている状態では、肥料分が不足している可能性があります。窒素やリン酸、カリウム等の多量要素に加え、鉄やマグネシウム等の微量要素を含む葉面散布剤が効果的です。

葉面散布剤は即効性はありますが、効果が長続きするわけではないので、このような状態のときは土壌への追肥も同時に行うと、より効果的です。

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