汚泥濃縮機

汚泥濃縮機とは

汚泥濃縮機とは、排水処理工程で発生した汚泥を濃縮して体積を減らすための機械です。

排水処理で発生する汚泥は、通常99%以上が水であるため、埋立や焼却の前工程として濃縮や脱水によって体積を減らすことが必要です。汚泥濃縮機は、脱水機の前段階に利用し、脱水機の効率を高めることができます。また、脱水機と異なり減容後の汚泥形状が液状のため、処理後の取り扱いの上で液状のままが望ましい場合に特に有効です。

汚泥濃縮機では、一般的に、固形物濃度0.4~2%程度の汚泥を4%前後の濃度まで高めることが可能です。汚泥濃縮機による濃縮は、動力機構を利用して濃縮を行う「機械濃縮」に分類され、ベルト式濃縮機、遠心式濃縮機、スクリュープレス濃縮機などがあります。

汚泥濃縮機の使用用途

1. 下水処理施設

生活排水や雨水、産業排水などを処理する一般的な下水処理施設で汚泥濃縮機は利用されています。下水処理場などでは微生物の力で排水中の有機物を分解する水処理技術が一般的ですが、一方で増えすぎた微生物が汚泥の発生原因となるという側面があります。

沈澱池から送られた汚泥に凝集剤を添加し、主にベルト式濃縮機や遠心式濃縮機を用いた濃縮が行われます。主に汚泥脱水機の前段階で利用され、処理コストの削減や施設負荷の軽減、環境負荷の低減に効果があります。

2. 産業排水処理

工場や産業施設から排出される産業排水には重金属や化学物質などの有害成分が含まれる場合があり、汚泥は産業廃棄物として適切な処理を行うことが必要です。化学工場、メッキや表面処理の工場、発電所、建設現場などの利用シーンが挙げられます。

また、オフィスビルや大型商業施設など、地下に排水処理設備を備える施設では脱水ケーキの搬出ができないため、汚泥を液状のままバキューム搬出することが必要となります。このような場合、汚泥濃縮機を利用して搬出頻度を減らし、産廃費を削減することが可能です。

3. 畜産業

畜産業では糞尿を処理する際に汚泥が発生します。畜産業で発生する汚泥には窒素やリンなど有機物量が多く含まれることが特徴です。また、悪臭や病原性微生物によって水質汚染や土壌汚染を引き起こす可能性があることから適切な処理を行うことが必要です。

汚泥濃縮機を利用することで、糞尿汚泥も処理を行うことができ、含まれる有機物を有機肥料として農業利用へつなげることも可能です。また処理効率向上によりコストカット効果も期待されます。畜産業の中でも豚舎糞尿汚泥で特に多く利用されています。