忌避剤とは
忌避剤とは、人の生活にとって害のある生物を接近・侵入させないようにする時に使用する薬です。
別名でリペレント (英: repellent) とも呼ばれています。使用する対象生物としては主に、獣類、昆虫類、鳥類です。具体的には、昆虫類ではシラミ、カ、ダニなどで、獣類では、ウサギ、ネズミ、イノシシが挙げられます。また、鳥類としては、スズメ、カラス、ムクドリなどがあります。
忌避剤の使用用途
忌避剤は、人にとって害のある生物を避けるために使用します。有害な生物の中には、昆虫や獣類、鳥類など、多種多様な生物が含まれます。これからそれぞれの有害な生物に対応した忌避剤の使用用途について紹介します。
1. 昆虫類を対象とした忌避剤
昆虫類を対象とした忌避剤として、ジメチルフタレートやジエチルトルアミドなどの薬が使用されています。これら物質を含有するクリームを腕や顔に塗ることで、虫を近づけさせないようにします。
また、飛んでいる昆虫にはスプレーや据え置きタイプの忌避剤を使用すること、床下や隙間から侵入する虫には耐水性のある粉剤を使用することなど、昆虫の種類によって忌避剤を変えることが効果的です。
2. 獣類を対象とした忌避剤
獣類を対象とした忌避剤として、化学物質であるクレオソートやβナフトールが活用されています。この忌避剤には特有の刺激臭があり、ウサギ、ネズミ、イノシシを近づけさせないようにします。
その他の忌避剤として、多くの獣類の天敵であるオオカミの尿を使用した忌避剤もあります。野生動物の尿のため、畑や水田など、周りの土壌に悪影響を与えないメリットがあります。また、尿であるため特有の刺激臭がありますが、特に嗅覚が敏感な獣類には効果が高いです。
3. 鳥類を対象とした忌避剤
鳥類を対象とした忌避剤として、酸化第二鉄やテトラヒドロチオフェンなどの化学物質がよく用いられています。これらの忌避剤を畑や水田、果樹園へ散布することで、ムクドリ、カラスなどによる食害を防止することができます。その他に、鳥類の嫌がるにおいを天然成分で再現した忌避剤もあります。天然成分の忌避剤は、果樹園や水田の土壌に対する悪影響を与えないメリットがあります。
水田や畑以外に建物などで忌避剤を使用する場合は、屋根や手すりにつかまることが多いため、固形タイプやゲルタイプの忌避剤も販売されています。
忌避剤の特徴
長所
忌避剤を使用する最大のメリットとして、有害生物が侵入できなくなることが挙げられます。
使用する場所や対象の有害生物によって様々な忌避剤が販売されています。取扱説明書をよく読み、正しく使用すれば対象の有害生物を近づかせず、侵入を防止することが可能です。
短所
忌避剤を使用するデメリットとしては、コストがかかることが挙げられます。
対象生物の種類や使用する場所によって忌避剤の価格は変動しますが、一般的にはコストが高いものほど効果が高いです。また、乳幼児やペットが暮らしている家で忌避剤を使用する場合、誤って乳幼児やペットが忌避剤を食べてしまうことが考えられます。忌避剤を使用する場所の決定はよく考えて行う必要があります。
忌避剤の種類
忌避剤には、固形・液体・スプレータイプなどの種類があるため、使用する場所や対象生物に応じて決定する必要があります。例えば、対象生物が細い抜け道を通ることが分かっている場合、固形エサタイプの忌避剤を置くと、対象生物が警戒していない限り、確実に仕留めることができます。
しかし、水田や畑などの広い範囲に現れる生物の場合は固形タイプの忌避剤よりも、液体・スプレータイプの忌避剤が有効的です。固形タイプの忌避剤では、他のルートを通って気づかない場合があるためです。使用する場所や対象の生物によって適切に忌避剤を使い分けることで、効果を上げることができます。