安全通路

安全通路とは

安全通路

安全通路とは作業場、もしくは作業場に通じる場所に設けられる労働者が使用するための安全な通路のことです。

安全通路を設けることは労働安全衛生規則で定められており、本規則で事業者は労働者の安全を確保するために通路の幅や床面などを安全な状態にすることを求められています。

通路は作業を行う場所では無いですが、労働災害が起こらない場所というわけではありません。例えば静岡労働局・労働基準監督署が発行しているパンフレットでは労働災害のうち約22%が通路などにおける転倒災害であると記載されています。そのため、通路での労働災害も防ぐことは安全な職場環境を構築する上で非常に重要な要素の一つです。

安全通路と労働安全衛生法

前述の通り、労働者の安全を守るため労働安全衛生法に基づいた労働安全衛生規則(以下、安衛則)にのっとり、通路や足場に関する規則が取り決められています。

例えば第540条では、事業者は、作業場に通ずる場所及び作業場には、労働者が使用するための安全な通路を設け、かつ、これを常時有効に保持しなければならないと定めています。

また同条の第2号では、前項の通路で主要なものには、これを保持するため、通路であることを示す表示をしなければならないとしています。

その他、照明や採光の確保、機械間に設ける通路の幅、床面がつまずきやすべりといった危険が無いこと等が本規則で求められており、事業者はこれらの安全通路に関する基準を遵守しなければなりません。

安全通路の規定

通路の安全に関する規則は主に安衛則の第540条から第575条に記載されています。

例えば安衛則の第542条では屋内に設ける通路に関して定めており、第1項で事業者へ用途に応じた幅を有する通路を設定することを求め、第2項では通路面をつまずきやすべり、踏み抜きなどの危険がない状態に保持することが取り決められています。

また第3項では通路面から1.8メートル以内の高さに障害物を置かないことが求められています。

また、安衛則の他の条項にも通路に関する規則が定められており、事業者はこれらも遵守しなければなりません。

例えば安衛則第338条の第1項では仮設の配線もしくは移動電線を通路面において使用してはならないと定められています。

ただし車両やその他のものが当該配線または移動電線の上を通過しないなど、配線の絶縁被覆の損傷のおそれがない場合は例外的に通路面に設置することが認められます。

  • 安全通路の色

    安衛則において、安全通路に用いる色については規定されておりません。ただし、日本工業規格(JIS)では安全色彩(安全色)が規定されており、通路は白で表すことになっています。例えば通路の区画線、方向線、誘導線は白で示されています。

    床面に通路の区画線などを引いて表示する際は経時的に剥がれる場合に備えて定期的に線を引き直すことが重要です。また、区画線の上に物を置くなど、線が見えない状態にならないように定期的に作業場の整理整頓を行う必要もあります。

  • 安全通路の幅

    前述の通り、安衛則では通路面から1.8メートル以内の高さに障害物を置かないことが求められています。さらに安衛則543条では機械間、または機械と他の設備との間の通路は幅80センチメートル以上にしなければなりません。

    実際に通路の幅を80cm以下にしていた場所で労働災害が発生し、事業者が書類送検されたという事例も発生しています。

  • 安全通路の表示

    安全通路や避難用の通路、出入り口はわかりやすく表示する必要があります。

    例えば標識やマーキングなどによる見える化が一般的に行われており、「安全」を表す安全色彩である緑を基調とした看板が販売されています。代表的なものとしては非常口を示す看板などが挙げられます。

    実際に設置する際は作業上のレイアウトや広さに応じて遠くからも認識できるサイズ、デザインであることが必要です。

    その他、安全通路を示す表示には初めて作業場に訪れた人や経験が浅い人でもすぐに認識できること、人間の目線の高さなど作業者が読み取りやすい位置に設置できることなどが求められます。

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