SD345とは
SD345とは、鉄筋コンクリート構造物に使用される異形棒鋼に分類される鉄筋の一種です。
異形棒鋼は鉄筋の表面にリブを付けることで、コンクリートとの密着性を高め、強度を発揮するために使用されます。SD345の「SD」は、Steel Deformedの略です。またSD345の「345」は、降伏点もしくは耐力が345 (N/mm2) 以上であることを示しています。降伏点または耐力は、材料が変形し始める限界値を表す指標であり、SD345の機械的性質として規定されています。
SD345の使用用途
SD345の主な使用用途は下記の通りです。
1. 鉄筋コンクリート梁や柱の補強
鉄筋コンクリート構造物において、コンクリートが圧縮力に耐える役割を果たし、鉄筋が引っ張り力に耐える役割を果たしています。SD345は、鉄筋の中でも高強度であり、主に鉄筋コンクリート梁や柱の補強に使用されるのが特徴です。
2. 地震対策としての耐震補強
地震によって建物が揺れたり、崩壊することがありますが、耐震補強によって建物の構造物を強化し、地震の揺れに対する耐久性を高められます。SD345は高い引張強度を持つため、柱や壁などの構造物に使用することで、地震時の揺れによる変形を抑え、建物全体の安定性を向上できます。
3. 高層ビルや大型構造物の鉄筋
SD345は高層ビルや大型構造物の建設において、鉄筋コンクリート構造物の強化に使用されることがあります。高層ビルや大型構造物では、重量や高さなどの理由から強度が非常に重要です。また長期間にわたって使用されることが想定されているため、耐久性も求められます。
4. 道路橋などの構造物の補強
道路橋や高速道路の橋梁、トンネルなどは、長期間にわたって使用されることが多く、また、車両の荷重や地震の揺れにさらされるため、強度と耐久性が重要です。
5. ダム、堤防などの補強
ダムや堤防などは、大量の水や地盤の圧力にさらされるため、強度と耐久性が重要となります。
6. 道路、鉄道の線路や踏切の補強
道路や鉄道の線路、踏切などは、車両の通行によって大きな荷重や振動にさらされ、また、地震などの自然災害にも影響を受けることがあるため、強度と耐久性が必要です。道路に鉄筋コンクリートの舗装をしたり、鉄道の線路、踏切に鉄筋コンクリート製の枕木を使用したりします。
7. 堤防、防波堤、防潮堤などの補強
河川改修や海岸保全のための堤防、防波堤、防潮堤などは、大量の水の圧力や波浪にさらされ、長期間の使用によって劣化が進むため、強度と耐久性が求められます。
8. 建築物の基礎や基盤の補強
建築物の基礎や基盤は、建物の安定性や耐久性に関わる非常に重要な部分であり、強度が求められます。特に、建物が長期間にわたって使用される場合、基礎や基盤の劣化が進むため、定期的な補強が必要です。
SD345の性質
SD345の主な性質は下記の通りです。
1. 化学組成
- 炭素 (C) : 0.27%以下
- シリコン (Si) : 0.55%以下
- マンガン (Mn) : 1.60%以下
- リン (P) : 0.040%以下
- 硫黄 (S) : 0.040%以下
2. リブ
SD345には、通常、軸方向に沿って間隔を開けて複数の突起部 (リブ) があります。リブ (英: rib) の主な目的は、コンクリートと鉄筋の密着性を高め、強度や耐久性を向上させることです。コンクリートが硬化すると、リブとコンクリートがしっかりと固着し、鉄筋とコンクリートの接着力が高まります。これにより鉄筋がより強力な力を受け止めることができ、鉄筋コンクリート構造物の強度や耐久性を向上できます。
またSD345が使用される場合、建物の柱や壁などの構造物に使用されることが多いため、地震による揺れに対しても耐久性を向上できることがメリットです。鉄筋とコンクリートが固く結合するため、地震時に発生する振動に対しても強度を発揮できます。
3. 高強度
SD345は通常の鉄筋に比べて強度が高いことが特徴です。SD345には高張力鋼が使用されています。高張力鋼は、一般的な鉄筋よりも引っ張り強度が高いため、大きな荷重に耐えられます。そのためSD345は通常の鉄筋よりも強度が高い材料です。また、SD345には鉄筋の表面にリブがあります。リブはコンクリートと鉄筋の密着性を高め、強度を向上させたり、曲げ応力に対する耐久性も向上させたりできます。リブがあることで鉄筋の表面積が増え、コンクリートとの接着力も増強されるため、強度を向上させることが可能です。
4. 耐震性
SD345は鉄筋コンクリート構造物に使用される異形棒鋼の一種で、耐震性に優れている材料です。高強度で鉄筋の中でも特に強度が高いため、鉄筋コンクリート構造物の補強や高層ビル、道路橋、ダム、堤防などの補強に使用されることがあります。
耐震性に優れている理由は、高強度鋼材が使用されているため、通常の鉄筋に比べて引張強度が高く、地震による引っ張り力に対しても耐えられる点が挙げられます。また、SD345にはリブがあり、コンクリートとの密着性を高め、強度を発揮できることも注目すべき点です。地震時に発生する振動に対しても、鉄筋とコンクリートが固く結合するため、耐震性を向上できます。
さらにSD345を使用することで、構造物の剛性を向上できます。剛性が高い構造物は、地震時に発生する振動を吸収でき、建物の損傷を最小限に抑えられることが特徴です。SD345は鉄筋コンクリート構造物の耐震性を向上させるために使用されることがあり、耐震性に優れた材料です。
4. 加工性
SD345は鉄筋の中でも高強度で比較的硬い材料ですが、可塑性にも優れています。そのため、曲げや引っ張りなどの加工に適しており、鉄筋コンクリート構造物に使用されることが多く、建物の形状に合わせて自由に曲げられます。また、異形棒鋼で様々な形状に加工できるため、SD345は建築物の補強材料として幅広く使用されます。
5. 溶接性
SD345は一般的に溶接性が良い材料です。異形棒鋼であるSD345には表面にリブがあり、コンクリートとの密着性を高めるために用いられます。リブが溶接時に融解し、周囲の鉄筋と融着しやすくななるためです。また、SD345は高強度で引張強度が非常に高いため、建造物の強度を高められます。
SD345のその他情報
SD345の耐食性
SD345は耐食性が比較的高い材料です。SD345は、一般的に鉄筋表面に酸化被膜を形成し、腐食を防げます。耐食性の高い被膜を施すことで、腐食に対する耐性を向上できます。ただし、環境要因によってはSD345も腐食する可能性があるため注意が必要です。特に海岸や海水浴場の近く、工場排出物が多い地域、酸性雨が多い地域など、腐食が進みやすい環境に置かれた場合は適切な対策が必要です。