電子マイクロメーター

電子マイクロメーターとは

電子マイクロメーター

電子マイクロメータ― (英: electric micrometer) とは、接触式の測定子をもつ検出器を用いて、微小変位を電気量に変換して測定する計測器です。

電気的インピーダンスである電気抵抗や静電容量、電磁誘導などによる電気量を測定子の変位変化により変化するよう構成し、それを増幅して測定を行います。電気マイクロメーターとも呼ばれるコンパレータの一種で、対象物の長さや厚みなどの寸法を測ることができます。

電子マイクロメーターの使用用途

電子マイクロメーターは、電気的な検出器を用いて微小変位を測定できることが特徴です。そのため、測定対象の高さ・段差・厚みなどの寸法測定に使用されるほか、回転体の偏心測定、振動体や回転振れなどの振動測定などにも有用です。

主に製造現場に使用されます。ノギス等と比べて、さらに精密な測定が可能なため、高い寸法精度が求められる部品測定に重宝されます。1µm単位まで測定できる製品がほとんどです。

電子マイクロメーターの原理

電子マイクロメーターは、接触式の測定子をもつ検出器を用いて微小変位を電気的に出力する測長器です。測定子の変位変化を電気的変化を行う変換器を用います。

その変換器として電子マイクロメーターには、差動トランスを使用した測定が多く用いられます。

1. プランジャ式

プランジャの先端を測定端面とし、プランジャに変換器を直結した方式です。プランジャの直線方向の変位を作動トランスにより、電気量に変換します。差動トランスは、3つのコイルと可動鉄心で構成されます。

1次コイルを一定の周波数電圧で励磁すると、測定物に連動して動く可動鉄心によって、2次コイル側に誘起電圧が発生します。この差動結合を増幅し位相検波することで、変位出力量を得ることが可能です。

例えば、可動鉄心が中央に位置する場合は、左右コイルに励起する電圧は等しく、電位差は0となります。可動鉄心の位置がずれると左右コイルの誘起電圧に差が発生し、その差に比例した出力電圧が出力されます。

可動鉄心が右にある場合と左にある場合では、位相が異なり逆になります。そのため、左右の変位の大きさは電圧の正負の大きさで出力することが可能です。

2. てこ式

てこ式は測定子がアームとなっており、アームの回転をてこの原理により作動変圧器の鉄心に伝えます。鉄心の変位が測定子の移動量に比例し、ベアリングの振れの測定などに使われます。

電子マイクロメータ―の特徴

1. 高倍率

電子マイクロメーターは、測定端面の直線変位を電気的に変換するので高倍率であり、0.2~1µmまで読み取れます。また、2~4段の倍率切換えが自由に行え、測定範囲の選択が可能です。

2. 小型軽量

小型軽量なので現場での使用に向いており、遠隔操作も可能です。

3. 高性能

高性能で安定性に優れ、操作が簡単です。

電子マイクロメーターのその他情報

電子マイクロメーターの課題

1. 測定の安定性
例えば、測定子と対象物との間にごみなどの付着があると、誤差を生じます。また、ゴムや樹脂など柔らかい素材の場合、接触式のマイクロメータは対象物の変形により測定精度が悪化します。

さらに、狭小、微少な箇所は測定子が、正確に当たらない場合も多いです。電子マイクロメータ―と測定物の温度変化があると、誤差が大きくなります。そのため、十分室温との差をなくすことが必要です。

高性能を維持するには、メンテナンスが欠かせません。ブロックゲージを使用して、定期的な検査が必要です。

2. 工数・コストの低減
測定前にゼロ点確認は重要です。また、測定場所ごとに接触させて測定するため、時間がかかります。人の経験やスキルよって作業時間に大きな差が出ます。

測定時にラチェット機構を使いますが、一般のラチェットの他、フリクションタイプやシンプルラチェットなどの機構があり、効率的なものを選択します。

また、多くの電子マイクロメーターは出力ができないので、測定箇所ごとに数値を記録する必要があります。そのため、記録に時間がかかる点がデメリットです。デジタル出力があるマイクロメーターは大きな効果が得られます。

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