フッ化カルシウム

フッ化カルシウムとは

フッ化カルシウムとは、組成式CaF2で表されるフッ素をカルシウムから成る無機化合物です。

通常、白色から灰褐色の粉末状の外観をしています。自然界では蛍石として産出され、加熱すると蛍光を発する性質があります。工業的製法は、フッ化カルシウムは、炭酸カルシウムとフッ化水素酸の反応です。水やアセトンにはほとんど溶けませんが、アンモニウム塩水溶液や薄い無機酸にはわずかに溶解します。

消防法、毒物及び劇物取締法、労働安全衛生法、PRTR法などの法令の規制対象とはなっていません。一方、水質汚濁防止法における有害物質、及び、土壌汚染対策法における特定有害物質に指定されている化合物ではあります。直射日光を避け、 換気の良い涼しい場所に密閉保管する事が必要です。

フッ化カルシウムの使用用途

1. フッ素化合物原料

フッ化カルシウムは、フッ素源として各種フッ素化合物の合成原料に利用されます。濃硫酸と加熱するとフッ化水素酸を生じ、様々な化合物の合成に利用することが可能です。製造されるフッ素化合物は、半導体製造や化学繊維製造、農薬製造などのさまざまな産業分野で活用されています。

2. フラックス

フッ化カルシウムは、金属酸化物と混合することで共融点を与え、融点を下げることが知られています。そのため、製鉄分野において、鉄鉱石や酸化アルミニウムなどの原料に混ぜて溶融温度を下げ、融解を促進するフラックスとして用いられています。また、融点を下げるだけでなく、スラグの粘性を下げることも可能です。

3. 光学ガラス

フッ化カルシウムを使用したガラスは、紫外線から可視光線、赤外線まで幅広い波長の光 (130nm~8μm) を透過します。そのため、フッ化カルシウムはレンズや赤外・紫外分光用プリズム、分光器などの光学部品の製造に使用されることが多いです。

フッ化カルシウムの単結晶を利用したレンズは蛍石レンズと呼ばれており、通常の光学ガラスとは色分散の性質が異なる特性を持ちます。通常の光学ガラスと蛍石レンズを組み合わせることで、非常に色収差の少ない光学系を作り出すことが可能であり、カメラ、顕微鏡、望遠鏡などの光学機器に活用されています。