硬質アルマイトとは
硬質アルマイトとは、アルミニウムの表面に厚くて硬い酸化皮膜を形成する陽極酸化処理技術です。
通常のアルマイト処理よりも硬い皮膜を形成するため、優れた耐摩耗性や耐食性を持っています。
一般的なアルミニウムの表面も、空気に触れることによって酸化被膜を形成します。しかし、自然に形成される皮膜は1ナノメートル程度のため、衝撃などで簡単に被膜が破られ、腐食します。一方、硬質アルマイトは、自然に形成される皮膜の1万倍以上である100マイクロオーダーの皮膜を形成することが可能です。
硬質アルマイトの使用用途
硬質アルマイトは、その高い耐久性と機能性から、多くの分野で使用されています。ここでは、代表的な用途を3つ紹介します。
1. 機械部品の耐摩耗性向上
硬質アルマイト処理を施したアルミニウム部品は、表面の硬度が向上し、摩耗による劣化を抑えることができます。そのため、摺動部品やギア、ピストンなど高い耐摩耗性が求められる機械部品に広く使用されています。また、アルマイト皮膜の孔に潤滑物質を入れることにより、摩擦による摩耗を軽減する効果を持った製品もあります。
2. 航空・宇宙分野での活用
航空機や宇宙機の部品には、軽量性と高い耐久性を有する硬質アルマイトが有効です。硬質アルマイトは、アルミニウムの軽さを有しながら、表面の強度が高いため、航空宇宙などのエンジン部品や構造部材にも使用されています。特に、硬質アルマイト処理を摩耗や腐食が発生しやすい部品に施すことで、過酷な環境下でも長期間使用することが可能になります。
3. 半導体・電子機器部品の保護
半導体製造装置や電子機器の部品には、高い耐熱性と電気絶縁性が求められます。硬質アルマイト処理を施すことで、アルミニウム部品の絶縁性を向上させ、電子機器の安定性を向上できます。電気絶縁性や耐食性を発揮するには、20~70マイクロメートルほどの皮膜が必要ですが、硬質アルマイト処理によって形成可能です。