鋼管矢板

鋼管矢板とは

鋼管矢板とは、複数の鋼管杭を継手で連結し、一体化させた構造物です。

主に河川工事や港湾工事、橋梁基礎工事などに使用され、土木工事において地盤を安定させたり、掘削時の土砂崩れを防いだりしています。

鋼管矢板は、鋼管杭を継手で連結する必要があるため、設置には大規模な工事が必要です。施工方法には、打ち込み工法や圧入工法などがあり、地盤の特性や施工環境に応じて適切な方法が選択されます。継手の形状は「L-T型」「P-P型」「P-T型」の3種類があります。

鋼管矢板の使用用途

鋼管矢板は、さまざまな土木工事において重要な役割を担います。ここでは、代表的な使用用途を3つ紹介します。

1. 河川・港湾工事

鋼管矢板は、河川や港湾における工事に使用されます。陸と河川の境界に鋼管矢板を打ち込むことで、岸が崩れるリスクを大幅に低減します。港湾においては、護岸補強のほか係船施設の基礎としても活用されています。また、鋼管矢板で止水壁を構築することも可能です。継手にモルタルなどの充填材を流し込めば、止水壁となります。

2. 橋梁基礎工事

橋の基礎部分には、安定した支持力を持つ鋼管矢板が使用されます。特に、軟弱な地盤に橋を建設する際には、鋼管矢板を使用することで強度を確保し、沈下を防ぎます。また、鋼管矢板は周囲の地盤への影響が小さく、場所も取らないため、市街地や交通量の多いエリアでも使用することが可能です。

3. 掘削時の土留め工事

都市部の地下工事や大規模な掘削工事では、周囲の地盤が崩れないようにするため、鋼管矢板を土留め壁として使用します。特に、地下鉄工事や地下駐車場の建設では、安全性を確保するために鋼管矢板による土留めが不可欠です。

鋼管矢板は狭い場所にも打設でき、施工時の振動や騒音が小さい特長を持つことから、市街地や都市部での土留めにも適しています。また、継手の位置を調節すれば、鋼管矢板を曲線や折れ線状に設置することも可能です。