舌圧子とは
舌圧子 (ぜつあつし) とは、主に患者の口腔内を診察する際に用いられる、医療現場で使用される棒状の器具です。
木製やプラスチック製が一般的で、幅広く平らな形状をしており、口の中に挿入して舌を押し下げるために使用されます。医師が舌を押さえることで喉の奥や口腔内を観察しやすくなり、口腔内疾患やのどの異常をスムーズに診断することが可能になります。また、簡便で使いやすいことから、一般診療から救急医療まで幅広い場面で活用されています。
舌圧子の使用用途
舌圧子の主な使用用途は以下の通りです。
1. 口腔内診察
舌圧子を用いて舌を押し下げることで、口腔内の状態を観察しやすくします。口の中の粘膜や歯、舌の裏側、歯茎などを詳細に確認する際に使用されます。
2. 咽頭 (のど) の観察
喉の奥 (咽頭や扁桃腺) の状態を確認するために、舌を押し下げて視界を確保します。特に以下の症状や疾患の診察に役立ちます。
扁桃炎
扁桃腺の腫れや赤み、白い膿の有無を確認
咽頭炎
喉の炎症や腫れを診断
感染症
インフルエンザや溶連菌感染症など、のどに症状が現れる感染症の診察
3. 舌や口腔の異常検査
舌や口腔内の腫瘍や潰瘍、白斑、紅斑などの異常を確認します。これにより、口腔がんや舌がん、粘膜疾患の早期発見が可能となります。
4. 反射検査
舌圧子を用いて喉に軽く触れ、咽頭反射 (嘔吐反射) が正常に機能しているかを確認します。この反射は、神経系や筋機能の評価に役立ちます。
5. 気道の確認
救急医療の場面では、舌圧子を使用して気道の確保や異物の除去を行います。舌が後方に押されて気道を塞ぐのを防ぎながら、異物や炎症の状態を確認します。
6. 口腔衛生指導
歯科医師や歯科衛生士が舌圧子を使い、患者の舌苔 (ぜったい) の状態や歯茎の健康状態を確認します。これにより、適切な口腔ケアのアドバイスが可能になります。
7. 嚥下機能の評価
嚥下障害 (飲み込む力の低下) が疑われる患者に対して、舌圧子を使用して口腔内や喉の動きを観察します。飲み込みに関わる筋肉の機能や感覚を評価する際に有用です。