マシニング加工とは
マシニング加工とは、NC工作機械であるマシニングセンタを用いた機械加工です。
マシニングセンタは、「工作物の取り付け替えなしに、多種類の加工を行うNC工作機械」と日本工業規格 (JIS) にて定義されています。NC (Numerical Control) 数値制御により工具位置や工作内容を加工対象物 (ワーク) に対して適用した作業が、マシニング加工です。
マシニング加工には、所望の工作作業のために、マシンを制御するプログラミングの作成を実施する必要があります。通常ワークは固定され、工具をプログラミングに基づき自動交換しながら回転切削することで、所望の加工を実施します。
マシニング加工の使用用途
マシニング加工は、種々の機械成形に欠かせない金型をはじめとする金属やプラスチック、ガラスや木材の加工で幅広く使用されています。さまざまなツールを自動で交換できるため、エンドミルやドリル、タップやフライス、中ぐり等の各種ツールを用いた複雑な加工を、単一の工程で行うことができます。
加工自由度については、従来は縦、横、高さの3軸適用でした。現在はこれに回転の2軸が加わり、5軸の自由度での加工が可能なマシニングセンタも多いです。5軸の場合はワークの配置を途中で持ち直す必要がないため、加工精度の高い部品を製作することが可能です。
マシニング加工の原理
マシニンング加工は、ワークを固定して回転する工具が入力プログラムに対応して自動的に切削加工する原理であるため、マシニングセンタの種類によって向き不向きがあります。
横形マシニングセンタでの加工は、ワークを横から加工していくので搬送系に優れており、ワークの連続加工に適しているため、量産向けの加工です。
立形マシニングセンタでの加工は主軸が垂直方向についており、加工物を上から加工します。コンパクトな構成になっており、最も普及している加工です。加工時の切削カスが残存しやすく工具刃先にダメージを与えてしまうので、切削カスを除去しやすいように工具の回転速度を変え、切削油を増減するといった対策が必要です。このような細かい作業から、量産よりは多品種少量生産に向いている加工といえます。
門形マシニングセンタでの加工は、その構造からワークの配置テーブルが大きいため、大型製品の加工に向いています。
マシニング加工のその他情報
1. マシニング加工では難しい加工事例
アンダーカットと呼ばれる一方向から見えない奥まったくぼみのある形状は、刃物工具が届かないため、マシニング加工では難しい加工の事例です。また厚みの大きな加工も、切削工具が摩耗しやすいので不向きです。ピン角と呼ばれる加工も、マシニング加工では難しい加工です。回転する工具で90度の直角加工をすることが困難であるためです。耳形状のRを付けた加工を追加することで対応が可能です。
2. フライス盤とマシニングセンサの違い
通常、フライス盤でできる加工は、マシニングセンタでカバーされています。マシニングセンタ固有の特徴としては、NC制御をプログラミングで実施できることと、ATCと呼ばれる異なる工具を自動変換してくれる機能を備えていることがあげられます。これらの特徴により、複雑な加工を人手を介さずに短時間で連続動作出来ることが、マシニング加工の利点といえます。
3. マシニング加工のプログラミング
マシニング加工のプログラミングは、マシンのPC画面上で、手打ちで必要な加工寸法等を入力していく方法が一般的です。寸法の他に用いたい工具や加工手順等をインプットしますが、ここで注意すべきは、加工寸法です。切削加工においては、削りすぎた場合ワークをもとに戻せないため非常に注意が必要です。仕様上の狭公差箇所のみならず、加工や計測が困難な箇所や初めて使う工具等の場合は、過去の経験則が活かせない場合も多く、慎重に加工する必要があります。
マシンのPC画面上での手打ちの他に、CADやCAMといった専用のソフトウエアを活用可能なマシニングセンタ機器も多く存在します。このタイプの最大のメリットは、より複雑な制御が可能になる点です。例えば、5軸の複雑な加工工具の制御の場合手打ちでプログラミングするのは困難ですが、CADやCAMを使用することで、同時加工含めた複雑な加工形状を実現できます。ただしそのためには、CADやCAMの専用のスキルを身につける必要あり、各メーカーがこれをサポートしています。