レドックスフロー蓄電池とは
レドックスフロー蓄電池とは、液体の電解質を使用して大容量の電気を蓄える蓄電池です。
ポンプを用いて2種類の電解液を循環させ、その際に起こるイオンの化学反応によって電気を貯める仕組みです。電池本体であるセルスタックと電解液の貯蔵タンク、そして電解液を循環させるポンプから構成されます。電極や電解液の劣化が少なく、繰り返し充放電を行っても性能が低下しにくい点が特徴です。
また、蓄電容量はタンクの大きさと電解液の量で、出力はセルスタックの規模でそれぞれ独立して設計できます。これにより、設置場所のニーズに応じた柔軟なシステム構築が可能です。一方で、同容量の他の蓄電池と比較してサイズが大きくなる傾向があり、ポンプなどの周辺機器が必要なため構造が複雑になるという側面も持ち合わせています。
レドックスフロー蓄電池の使用用途
レドックスフロー蓄電池は以下のような用途で使用されます。
1. 再生可能エネルギー
太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーは、天候によって発電量が大きく変動します。この不安定な電力を安定的に供給するために、レドックスフロー蓄電池が活用されます。発電した余剰電力を蓄電池に貯蔵し、発電量が少ない時に放電する仕組みです。これにより、電力の供給量を平準化し、安定した電力網の維持に貢献します。
2. 送配電系統
電力の需要は季節や時間帯によって大きく変動します。電力会社は常に需要と供給のバランスを取る必要がありますが、レドックスフロー蓄電池を用いることで効率的に行えます。電力需要が少ない夜間などの時間帯に余剰となる電力を蓄電し、工場や家庭での電力使用が集中する昼間のピーク時間帯に放電する運用です。これにより、発電設備の効率的な運用を助け、電力インフラの負荷を軽減することが可能です。
3. 非常用電源
ビルや工場、データセンターなどの大規模施設における非常用電源としても利用されます。万が一の停電が発生した際に、事業活動の継続や重要設備の保護に必要な電力を供給することが可能です。長期間にわたって安定した性能を維持できるため、信頼性の高い非常用電源の一つです。