ジャバラとは
ジャバラとは、波状や折り畳み式の構造を持つ部品や素材のことを指し、曲がったり稼働するような部位でも、自身が自在に変形することで対象を保護するものをいいます。
「ジャバラ」という名前は日本国内で主に使われている呼び方で、英語圏では一般的に、ベローズ (bellows) と呼ばれます。工業用ジャバラは、配管やケーブル、機械の可動部分を保護したり、構造の振動や伸縮を吸収するために用いられ、産業分野での重要な部品のひとつです。
ジャバラの最大の特徴はその形状です。蛇腹状の折り畳み構造によって柔軟な動きが可能であり、伸縮、曲げ、ねじりといった多方向への変形に対応できます。また、ジャバラには様々な素材が使用され、金属、ゴム、プラスチック、ファブリックなどがあり、それぞれの素材特性によって様々です。
ジャバラの使用用途
工業用のジャバラは、その柔軟性と保護力を活かして多くの用途で使用されています。主な使用用途を以下に紹介します。
1.機械部品の保護
ジャバラは工作機械や産業用ロボット、CNCマシンなどの可動部分に取り付けられ、これらの部品を外部のホコリや水分、油分から保護するものです。たとえば、産業用ロボットのアーム部分にジャバラが使用されることで、精密な動作を阻害せずに内部を保護します。
2.配管やダクトの保護
流体やガスの配管に使用されるジャバラは、温度変化や振動に対して柔軟に対応します。これにより、温度変動や圧力による膨張・収縮から配管を守り、配管の耐久性を向上させます。
3.自動車部品
自動車のステアリングラックやドライブシャフトなどの可動部分において、異物や水分の侵入を防ぐために使われるのがゴム製のジャバラです。こうしたジャバラは部品の可動性を確保しながら、耐久性を維持し、長期間の使用を可能にしています。
4.エアダクトや排気ダクト
ジャバラは、エアダクトや排気ダクトに使われることもあります。耐熱性や耐圧性に優れた金属製やシリコン製のジャバラが利用され、設備や施設の通気システムに組み込まれています。ジャバラの柔軟な構造により、曲げやすく、設置環境に合わせて配管が可能です。
ジャバラの種類
ジャバラの種類を形態の違いから説明します。ただし種類に定義はなく、メーカーごとの名称によって区分けされています。また以下に紹介する以外の形態も、ジャバラとして扱われる場合もあります。
1. 丸型ジャバラ
丸型ジャバラは、円筒状の形状を持つ最も一般的なジャバラです。波状の構造が均一であるため、全体的に安定した伸縮や曲げが可能です。丸型は配管やケーブルを包み込むように設置できるため、均等に外力を分散し、柔軟性が必要な動力伝達や配管の保護に向いています。ボールねじ、シリンダーロッド、ボールスプライン、ピニオンラックなど、主に軸を保護するジャバラです。
2. 角型ジャバラ
角型ジャバラは四角い形状をしており、スペース効率が高いのが特徴です。機械の直線的な動きに合わせて設計されているため、特に上下や左右の動きに対して有効です。主に工作機械や自動化機器のカバーとして使用され、直線動作をするスライドレールやガイドに取り付けられます。
3. 平型ジャバラ
平型ジャバラは、開口部や蓋などに利用されるジャバラです。平行に設置されたガイドレールによって、開閉動作ができます。
4. 多層型ジャバラ(テレスコカバー)
多層型ジャバラは、複数の層を重ねた構造で、より大きな保護機能を持ちます。層が多いため、耐久性が高く、振動や衝撃に対しても強いため、過酷な環境での使用に適しています。例えば、重機や建設機械、さらに振動の多い製造ラインなどに使われることが多く、異物の侵入を防ぎつつ、動作を妨げません。
ジャバラの選び方
1.形態
ジャバラは形態によって様々な種類があります。まずは使いたい部位に適した形態を選ぶことが必要です。
2.素材選び
使用環境に合わせて適切な素材を選ぶことが重要です。例えば、高温や化学薬品が関わる場合には、耐熱性や耐薬品性に優れた金属製や特定のゴム素材のジャバラを選ぶ必要があります。また、軽量性を重視する場合はプラスチック製が適しています。
3.柔軟性・伸縮性
ジャバラの可動範囲を確認が必要になります。特に動きが大きい場合には、伸縮性や屈曲性が高い素材や形状のものを選ぶことが大切です。例えば、産業用ロボットのアーム部分などでは、柔軟性が高いゴム製のジャバラが適しています。
4.耐久性・メンテナンス性
長期間にわたり使用する場合は、耐久性が重要です。また、定期的なメンテナンスがしやすいかも考慮する必要があります。例えば、金属製ジャバラは耐久性が高い一方で、ゴム製やプラスチック製のものは取り替えが比較的容易です。
5.コストパフォーマンス
用途や予算に合わせてコストを検討することも重要です。長期的な視点で、耐久性が高く頻繁な交換が不要なものを選ぶことで、結果的にコストを抑えられる場合もあります。