レーダー探査

レーダー探査とは

レーダー探査とは、電磁波レーダーの反射、屈折、透過現象を用いて建造物内部や地中などを検査する非破壊検査です。

レーダー探査は、主に建物などのコンクリート内部の鉄筋や電気配線管の位置を特定したり、地中の空洞・埋設物などを探索したりするために使用されます。非破壊かつ短時間で広範囲を探査することが可能です。

道路調査車や探査機械を用いて電磁波を発信して反射してくる電磁波を受信し、材質による比誘電率の違いを利用して探査対象物を分析します。

レーダー探査の使用用途

 レーダー探査は、建造物や地中などにおける様々な配管・鉄筋・埋設物を調査・検出するために使用されます。下記のようなものを検出することが可能です。

  • 鉄筋
  • 上下水道管・ガス管
  • 電力・信号ケーブル
  • 空洞
  • ひび割れ
  • 地層構造

土木・建築などの分野で広く使用されており、主な調査には下記のようなものがあります。

  • コンクリート構造物の鉄筋・配管のかぶり厚の調査
  • 改修工事・耐震診断などにおける鉄筋位置の調査
  • 地中やコンクリート内における既設の埋設物・埋設管の位置、深度の調査
  • 橋梁の床版変状の検出
  • 路面ひび割れ・路面下空洞の調査
  • 地盤中の空洞、ゆるみの調査
  • トンネルのコンクリート厚、背面の空洞調査
  • 遺跡調査
  • タイルの剥離・タイル浮き探査
  • 建築物建設や土地売買の際における地中埋設物調査

レーダー探査の原理

1. 基本的な仕組み

レーダー探査は、地中や構造物に向けて電磁波を送信し、電磁波の反射を分析して、埋設物の種類や位置を特定する探査方法です。地中等に送信する電波の照射方向を制御することはできないため、通常レーダー装置には移動させながら計測するための車輪がついていることが多いです。

装置からコンクリートや地中に向けて電磁波を放射すると、鉄筋・電気配線管・空洞など、周囲と電気的な性質が異なる物質との境界面で反射が起こります。この反射した電磁波を探査装置の受信アンテナで受信することで、埋設物を検出する仕組みです。

送信から受信までにかかる時間を計測することで、埋設物までの距離 (かぶり厚) を算出することができます。使用周波数帯は、50MHz~4.5GHzの範囲であることが多いです。

2. 比誘電率

比誘電率とは、物質の誘電率と真空の誘電率の比であり、物質ごとの固有の値です。電磁波の速度はその媒体固有の比誘電率に影響されます。比誘電率から電磁波の速度を求め、反射時間を計算することで埋設物の深さを算出することが可能です。

水分量によりこの比誘電率は変化し、例えば打設後間もないコンクリートは水分含有量が高いため比誘電率が高くなる傾向にあります。機器によっては比誘電率を自動で算出可能です。

レーダー探査の種類

レーダー探査は、土木・建設などの分野で広く使用されています。使用分野によって必要な機能が少しずつ異なる場合もあるため、適切なサービスを選択することが必要です。

建設物などで用いられる多くのレーダー探査機は、車輪がついていて、手で転がす、もしくは台車のように両手で押して走らせます。路面調査など大掛かりな地下探査の場合は、道路調査車による調査が必要です。

製品やサービスによって特色ある機能が搭載されている場合もあります。例えば、クロススキャン機能を搭載している製品は、鉄筋奥の第二鉄筋や塩ビ管、CD管、PV管、空洞などを正確に検出することに長けています。

路面調査などでは、電磁波レーダーに加えてレーザーなどによる表面撮影 (路面性状調査) を組み合わせた複合探査車が用いられる場合もあります。また、AIとの技術融合を行っているサービスでは、路面画像からひび割れを描画したり、自動的に空洞を抽出したりすることが可能です。