気化器

気化器とは

気化器とは、液体状態の物質を気体状態に変えるための装置です。

様々な工業プロセスや半導体プロセスでは、水や各種工業用液体・液化ガスを、コントロールされた清浄度の高い蒸気 (気化ガス) に変換する必要があります。このような場合に使用されるのが気化器です。 キャリアガスと混合して液化ガスの分圧比率を下げて安定的な気化供給を行うキャリアガス気化器や、キャリアガスを使用しないノンキャリア気化器などがあります。また、エンジンへの燃料供給装置に使用される気化器は、燃料の微粒化・吸入空気との混合により気化を促進させています。

気化器の使用用途

気化器は、様々な産業用途、工業用途などにおいて、水蒸気を発生させたり、各種液体・液化ガスを蒸気へ変換する用途で使用されています。

  • 水蒸発/加湿
  • 化学蒸着
  • 薄膜を蒸着することで、熱特性、光学特性、強度特性を高める
  • 真空ポリマー膜蒸着用のモノマー気化
  • キャリブレーション用蒸気の生成
  • 液化炭化水素、液化LNGなどの気化
  • 液化炭酸ガスの気化 (溶接、清涼飲料水の製造、化学薬品の製造、公害処理、鋳造)

特に、内燃機関において使用されるキャブレターは、燃料を気化して空気と混合することに使用されます。ガソリンなどのように常温常圧で液体の燃料に用いるものと、液化石油ガス (LPG自動車 ) や圧縮天然ガス (天然ガス自動車) のように気体の燃料に用いるものでは異なる構造を持ちます。現在では、燃料噴射装置の方がキャブレターよりも精密にエンジンの負荷状況に応じた空燃比で混合気を形成できるため、自動車やオートバイではキャブレターに代わって燃料噴射装置が使用されている場合が多いです。

気化器の原理

1. 概要

気化器は、液体の温度を上昇させる、または液体の周囲圧力を低下させることにより、各種液体を気体へと変えます。例えば、液化ガスLNGや液化ガス二酸化炭素などの気化では、温水等との熱交換により液体のガス化が行われます。気化器には、

  • 蒸気フローを回収し、制御する密閉システム
  • フィードバックとコントロールループシステムを使用して、気化速度を調節する

という機能が共通していることが特徴です。

2. キャリアガス気化器/ノンキャリア気化器

直接気化方式の気化器は、流量制御された液体を連続的に気化室に導入して気化を行います。気化室に導入される液体は、液体マスフローメータで質量を測定した後、コントロールバルブで流量制御を行う仕組みです。

キャリアガス気化器は、キャリアガスと流量制御された液体を混合させて気化室に導入し、瞬時に液体を連続気化します。ノンキャリア気化器は、ピエゾアクチュエータコントロールバルブなどの流量制御により、キャリアガスを使用しないながらも圧力変動の少ない連続的な気化が可能です。ピエゾアクチュエータコントロールバルブは、微小流量の制御と高速応答が可能です。

3. キャブレター

エンジンへの燃料供給装置である気化器は、キャブレターと呼ばれています。エンジンに吸入される空気の流れのベンチュリ効果を利用し、燃料の微粒化と吸入空気との混合により気化を促進させる仕組みです。

気化器の種類

気化器には、用途に合わせて様々な製品があります。キャブレターは燃料を気化させてエンジンなどへ供給する製品であり、単純気化器や、空気ブリード付き気化器などの種類があります。

炭酸ガス蒸発器やLNG気化器などは、熱交換により液化ガスを気化する装置です。LNG気化器には、12℃前後の冷水を利用する冷水式LNG気化器や、温水ボイラを用いる温水式LNG気化器、空気強制循環式LNG気化器などがあります。
冷水式LNG気化器はLNG冷熱の有効活用が可能です。また、空気強制循環式LNG気化器は気化器予備機、及び温水式気化器が不要でイニシャルコストが低いなど、それぞれに特徴があります。

半導体製造に使用されるTEOSなどのガスや水蒸気に使用できる産業用製品には、小型気化器、高効率気化器、高温高効率大流量気化器などがあり、キャリアガス気化器とノンキャリア気化器に大別されます。用途に合わせて適切なものを選定することが必要です。