天体望遠鏡

天体望遠鏡とは

天体望遠鏡とは、天体の星などを観測するための装置です。

天体望遠鏡は、天体の星などの少ない光をレンズや反射鏡で効率的に集めて拡大することにより、天体の観測を可能にします。天体望遠鏡を使用することにより、月面や惑星、星雲・星団、彗星などを観測することができ、カメラやスマートフォンを接続すると撮影も可能です。

天体望遠鏡は、鏡筒と架台、三脚から構成され様々な種類があります。天体望遠鏡を選ぶ際は、観測対象の天体に最適な倍率を始めとして、撮影するかどうかや運搬など使い勝手も考慮しながら選択することが大切です。

天体望遠鏡の使用用途

天体望遠鏡を使用することにより、月のクレーターや海、土星の環や縞模様、木星の縞模様、金星・水星の満ち欠け、観測好期時に火星の模様などを観測できます。

アンドロメダ銀河やオリオン星雲など星雲・星団については低倍率で観測可能です。その他にも重星、変光星、彗星なども観測出来ますが、太陽の観測は屈折式の鏡筒で太陽投影板を使用してのみ観測可能です。

また、天体望遠鏡にカメラやスマートフォンを接続して撮影することもよくあります。

他には、天体望遠鏡を野鳥や風景の観測・撮影に使用する場合もあります。

天体望遠鏡の構造

天体望遠鏡は、鏡筒と架台、三脚の組み合わせで構成されています。

1. 鏡筒

鏡筒は、天体望遠鏡の筒の部分でレンズや反射鏡を内蔵し、観測対象を視界に捉えるための低倍率ファインダーを側面に備えます。

鏡筒には、屈折式、反射式、カタディオプトリック式の3種類あります。

・屈折式は、対物レンズで光を集め像を作り、接眼レンズで拡大します。

・反射式は、凹面鏡に光を集め反射させ、別の斜鏡で反射した光を接眼レンズで拡大します。接眼部は鏡筒の先端にあり、天体と90°違う方向から覗きます。

・カタディオプトリック式は、反射式の天体望遠鏡をベースに補正レンズを組み入れ収差を補正しています。

2. 架台

架台は鏡筒を三脚に固定する部分で、経緯台と赤道儀の2種類あります。

・経緯台は、垂直及び水平方向の2方向に動かし鏡筒の向きを調整し視野を移動させます。

・赤道儀は、日周運動に合わせて鏡筒の向きを自動調整します。

3. 三脚

三脚は、鏡筒と架台を安定保持する役割をします。

天体望遠鏡の選び方 

天体望遠鏡を選ぶ際に、考慮すべき主な観点を記載します。

1. 鏡筒の種類

3種類の鏡筒の特徴を踏まえながら選択すると良いでしょう。

・屈折式は、鏡筒の一番下側の接眼部から天体に向って覗くことができ、光軸調整が不要で初心者向きと言えます。保管時の手入れに手間が掛かりにくいこともメリットです。価格は高めで、レンズを複数枚使うので重い傾向にあります。

・反射式は、中心部の像がクリアで色収差が出にくく、価格が比較的安いことがメリットです。内部の汚れに注意し定期的なメンテナンスが必要で、光軸調整はやや手間がかかり、使用時には外気温に慣らす必要があります。

・カタディオプトリック式は鏡筒が軽量コンパクトで持ち運びに向いています。収差を補正した方式でクリアな観測が可能ですが、光軸調整は難しいです。

2. 架台のタイプ

経緯台は、組み立てやすく扱いやすい軽量なモデルが多く手軽に楽しみたい時に向いていますが、長時間観測したい場合や写真撮影には不向きです。

赤道儀は、極軸合わせなどの事前準備が必要ですが、長時間の観測・撮影に適しています。自動追尾機能や、観測対象を自動で探す自動導入機能など様々な機能をもった製品があります。

3. 三脚

鏡筒は長く重量もあり三脚の強度が必要になる為、天体望遠鏡のセット品になっている三脚を使用すると安心です。カメラを搭載する場合は更に注意が必要です。

4. 口径

口径は対物レンズ (反射鏡) の直径のことで、口径が大きくなるほど多くの光を集められ、天体の観測や撮影に有利になります。しかし、大口径モデルになる程本体サイズも大きくなります。

5. 倍率・適正倍率

天体望遠鏡の倍率は、以下の式で求められます。

天体望遠鏡の倍率 = 対物レンズ (反射鏡) の焦点距離 ÷ 接眼レンズの焦点距離

また、一定以上に倍率を高くすると像が暗くなり天体がぼやけて見えにくくなる限界は最高倍率と言われ口径 (mm) の2倍程度です。更に、最も観測に適した適正倍率は口径 (mm) からその半分程度です。例えば、口径60mmの場合最高倍率は120倍程度で適正倍率は60倍から30倍程度です。

天体により観測に適切な倍率は異なるため事前に確認した上で、適正倍率なども考慮しましょう。

6. 撮影

天体観測だけでなく撮影する場合は、アダプター等を介しカメラやスマートフォンが接続できる仕様になっているモデルを選択します。近年は、接眼レンズに取り付け出来るスマートフォン用アダプターが付属しているモデルも増えています。

7. 重量・サイズ

収納や運搬を考え、天体望遠鏡全体の重量やサイズを確認することが大切です。