PEEKねじ

監修:株式会社CLUDE LAB

PEEKねじとは

PEEKねじとは、PEEKと呼ばれる樹脂で作られたねじのことです。

PEEKとは (Poly Ether Ether Ketone:ポリエーテルエーテルケトン) という、熱可塑性のスーパーエンジニアリングプラスチックの1つです。耐薬品性能が高く濃硫酸以外のほとんどの薬品に対して耐性があり、高温環境においても優れた機械的性質が維持できるプラスチック材料です。樹脂製のねじは金属製のねじに比べて軽量であるのが最大の特徴です。また絶縁性が求められる場合、ねじに磁性を帯させたくない場合にも、樹脂製のねじが選ばれます。PEEKねじは一般的な樹脂製のねじに求められる要求に加えて、耐薬品性や温度が高い条件になる部位で使われます。

PEEKねじの使用用途

PEEKねじの使用用途について、分野ごとに説明します。

1. 電子・電気分野

PEEKねじが電子・電気分野において特に多く使われているのは、半導体業界です。半導体の製造プロセスの中には高温環境で行われる工程がいくつかあります。高温とともに薬品による腐食にも耐えなければならないため、電子・電気分野はPEEKねじが選ばれる分野の一つです。絶縁性や耐摩耗性の点からもPEEKねじが選ばれることがあります。半導体製造装置以外では、プリント基板のエッチング装置、FPD (フラットパネルディスプレイ) の製造装置なども、PEEKねじの使用用途です。

2. 医療分野

医療分野においてPEEKねじが用いられるのは、人体への影響が少ない特性によるものです。骨固定用や靱帯を骨に繋ぎ止めるアンカーボルトとして、PEEKねじが用いられています。X線やMRIの検査にも影響を与えないことも、人体内で使われるインプラントに適したPEEKの特性の一つです。

3. 食品加工産業分野

PEEKは食品加工産業分野においても、安全性が高い樹脂です。PEEKはアメリカ食品医薬品局 (FDA) の必要条件に準拠した材料であり、酸、塩基、塩、スチームなどに対しても優れた耐久性を有しています。

PEEKねじの種類

PEEKねじは一般的なねじと同様に、以下の種類の製品が販売されています。

1. 六角ボルト

PEEKねじ

六角ボルトはボルトを締め付けるときに工具と嵌合するヘッド部分が六角形状をしたボルトです。最も一般的なねじ形状であり、PEEKねじにも六角ボルトの製品があります。

2. 皿ねじ

PEEKねじ

皿ねじは締結した際に、ねじのヘッド部分が飛び出さないように円錐形状になったねじです。ねじを締結する相手の部材にもねじが通る貫通穴が、すり鉢形状になっています。皿ねじを締結させるために、プラス穴 (十字穴) やマイナス穴 (すりわり) などがあります。

3. 六角穴付きボルト

PEEKねじ

六角穴付きボルトは、円筒形のヘッド部分に六角形の穴が空いているボルトです。六角穴付きボルトの締結には、六角レンチを使用します。六角穴付きボルトの六角穴のサイズは複数の種類があり、適したサイズの六角レンチ以外では締結できないのが特徴です。

4.十字穴付きなべ小ねじ

十字穴付きなべ小ねじは、上面の角が丸みを帯び、締結させるためのプラス穴(十字穴)が付いています。頭に厚みがあり、プラスドライバーを使用してしっかりと締結することができます。一般的サイズはM8(呼び径)以下で、主に小さな部品の締結に使用されます。小ねじの中では最も多く使われる代表的な小ねじです。

PEEKねじのその他特徴

PEEKねじの製造方法

PEEKねじを含む樹脂製のねじは、射出成形または切削加工で作られます。金属製のねじで広く用いられている転造加工はできません。PEEKねじの場合には、製造数量が極端に少なかったり、特殊なサイズ出なければ、多くは射出成形で製造されています。PEEKねじを選定する際には、まずは汎用品から探すのが安価であり、安定した品質の製品が得られます。ただし射出成形のねじは一般的に、金属で転造によって作られたねじほどのねじ精度は期待できません。ねじと相手のねじ穴とのはめあい交差が大きめになることや、噛み合い長さが長く取れないことにも注意が必要です。

本記事はPEEKねじを製造・販売する株式会社CLUDE LAB様に監修を頂きました。

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