緊急遮断弁

監修:日本エンヂニヤ株式会社

緊急遮断弁とは

緊急遮断弁とは、水道水や工業用水、液体の燃料やガスなどを貯蔵するタンクに、保安装備として取り付けられる安全装置の一つです。

タンクの供給先にある配管などが事故や災害などによって損傷した場合、タンク内の流体が意図せず大量に流出してしまう事故につながりかねません。緊急遮断弁は供給先の配管などに異常が発生したり、異常が生じる可能性があると判断された際に流体の配管への供給を遮断することによって、事故や災害の二次被害が発生するのを防ぐ装置です。

緊急遮断弁は政省令などによって、特に交官庁や公共施設などには設置の基準や性能などの要求が定められています。また民間の商業施設や共同住宅などにも設置が拡大している製品です。

緊急遮断弁の使用用途

緊急遮断弁は大きく、水を貯蔵するタンクに取り付けられるもの、液体燃料を扱うタンクに取り付けられるもの、ガスを貯蔵するタンクに取り付けられるものがあります。

水を扱う場合には貯水槽に取り付けられます。地震などの災害や事故などによって給水配管などが損傷すると、貯水槽に蓄えられた水が大量に流出するのを防止するのが目的です。なお緊急遮断弁が設置される貯水槽にはいくつかの種類がありますが、受水槽はタンクが地下に設置されるもの、高置水槽は建物の屋上などに設置されるタンク、貯湯槽は水を加熱する機能を有したものを言います。

液体燃料を扱う場合には、燃料供給ラインやガソリンスタンドのガソリンや軽油タンクなどに取り付けられ、ガスを扱う場合には、ガスタンクや供給ラインなどに設置されます。いずれも燃料が予期せず流出し、火災が発生するのを防ぐ役割を果たすものです。

緊急遮断弁の原理

緊急遮断弁の原理として、緊急を検知する仕組みと作動する動力源について説明します。

緊急を検知する仕組みにはいくつかありますが、例えば自ら加速度センサーを備え、設定された加速度が検出された際に作動するもの、パイロット圧を発生させておき、異常によって流量が増大し、異常な差圧が生じた際に遮断が作動するものなどが主流です。他には流量をモニターしながら異常な流量が生じたことを検知するもの、複数の方式を用いてかつ、それらをすべて満たした際に作動させるもの、いずれかの条件で作動させる場合などの判定条件を設定できる製品もあります。

弁の遮断動作には電気を用いるもの以外に、機械式のものは例えばゼンマイによる弾性力を利用することで、電源がなくても作動できるものもあります。

緊急遮断弁の選び方

緊急遮断弁を選ぶ際には、まず扱う流体の種類で選ぶことから始めるのが一般的です。生活用水や工業用水などの水を扱うもの、ガソリンや軽油といった液体燃料を扱うもの、ガスを扱うものによって選ぶべき製品が変わってきます。

次に上述の原理でも挙げた、緊急の検知方法と遮断弁動作の動力源について確認が必要です。地震による災害を防ぐ目的の製品であれば、揺れを検知する加速度センサーが緊急遮断弁の本体についているものもあれば、本体とは別に制御盤などに感震器が内蔵されているものもあります。

機械的に揺れを検知するタイプでは、緊急遮断弁本体に異常を検知する機構が設けられていることが一般的です。圧力やバネの弾性を利用した機械式は電源が不要なだけでなく、信頼性の面からも安心して用いることができます。

また緊急遮断弁を選ぶ上で、緊急遮断が行われた後の復帰方法についても確認しておくことが大切です。せっかく異常を検出して遮断できたとしても、復帰時に意図せずに弁が解放されてしまっては、二次災害につながりません。十分に安全が確認された上で復帰できるよう、用途に応じて製品の仕様を確認することが重要です。

 

本記事は緊急遮断弁を製造・販売する日本エンヂニヤ株式会社様に監修を頂きました。

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