自動車シート製造設備

自動車シート製造設備とは

自動車シート製造設備とは、自動車の座席用部品を製造するために使用される一連の工場設備のことです。

自動車シートの製造作業には溶接や穴開け、組立などが含まれます。縫製や最終的な仕上げなど、人の手によって行われる工程も多いですが、自動化可能な部分には溶接機や搬送機など様々な機械が使用されます。

自動車シート製造設備の使用用途

自動車シート製造設備は、様々な車種の自動車用シートを製造するために使用されます。一般的な乗用車の他、軽自動車、SUV、ミニバン、商用車、トラック、スポーツカーなど様々な車種があり、それぞれに適した自動車シートが製造されています。

1つの車両の中でも運転席、助手席、後部座席では異なった種類のシート製品が必要です。また、機能性の高いものでは、骨盤の沈み込みを深くして自動車レース等のドライバーの着座姿勢の安定性を高めたスポーツシートや、空気ばねとダンパーを用い、フロアからの振動を吸収するトラック用シートなどの製品もあります。

自動車シート製造設備の原理

1. 自動車シートの製造工程

自動車シートの製造作業は、大きく分けて、

  1. 裁断
  2. 縫製
  3. 発泡
  4. 組立

の工程があります。シートは温度や湿度の影響を受けやすいため、専用施設で安定した環境で行われるのも特徴のひとつです。

裁断工程では、主に自動裁断機を使って、部材の切り出しを行います。切り出した部材を縫い合わせる縫製工程は、工業用のミシンを用いて人の手で行われることが多いです。発泡工程は、裁縫したシートカバーでウレタン資材を覆います。通常、一体発泡工程と呼ばれる工法が使用されます。一体発泡工程は、シートカバーを型に入れ、ウレタン原料を注ぎ込む工法です。無駄や漏れを生じることなくウレタンを隅々まで充填することができます。

組立作業の多くは手作業で行われますが、 中にはシートトラック自動組立設備・シートアジャスター自動組立設備などの専用設備が使用される場合もあります。シートフレームの製造工程では、溶接機を用いてプレス品やパイプの溶接作業が行われます。手作業での組み立ては、専用工具でのクッション・カバー・フレーム部品取り付けを行い、アイロンやドライヤーでシワなくつやを出す作業です。

2. 自動車シート製造設備で使用される機器

上記の各工程において、自動車シート製造設備で使用される機器には下記のようなものがあります。

  • 自動溶接機
  • 各種組立機
  • 各種孔開け機/潰し、抜きプレス機
  • 自動搬送機
  • 各種試験機
  • 各種ゲージ、ハンダ付、ロー付機

自動車シート製造設備の種類

自動車シート製造設備には様々な機械が使用されます。主には、溶接機、組み立てなどの各種専用機、搬送機に分けられます。

1. 自動溶接機

自動車シート製造設備で用いられる自動溶接機は、ロボットによるCO2溶接機、スポット溶接機などです。シートフレームの溶接やシートトラックの溶接に使用されます。特にアームロボットは、溶接作業の無人化のために汎用され、溶接ロボットアームと超音波溶接源で構成される超音波ロボット溶接システムもあります。

2. 組み立て・プレス

シートの組み立てでは、シートトラック自動組立設備、シートアジャスター自動組立設備などの設備が用いられます。また、その他各種専用機では各種孔開け機やプレス機、ベンダーなどがあります。ドアトリム、シートフレームの加工やパイプ孔開け、など様々な加工に使用されている機械です。

リクライナーやスライドレールの組み立てでは、ロボットが活用されている場合もあり、これらの活用により、省スペースでの生産、生産の自動化が可能となっています。

3. 搬送機

搬送用途では、トランスファー、パレット搬送、反転機、コンベアーなどの搬送機械が使用されます。

また、自動搬送車の活用も進んでおり、例えばサーバーによる生産機械の管理と自動搬送車の制御を連動させる活用もあります。製品が箱出しされるタイミングを予測し、箱出しと同時に自動搬送車が到着するよう制御することが可能です。