粉体受託加工

監修:ハクスイテック株式会社

粉体受託加工とは

粉体受託加工とは、粉体の加工業務を外部の専門業者が受託するサービスを指します。

粉体加工は、粉砕、混合、分級、乾燥、焼成、造粒、表面処理など、様々な加工工程を含むことが一般的です。

粉体受託加工には以下のような利点があります。

  • 専門技術の活用:粉体加工に特化した技術や設備を持つ業者に委託することで、スピーディに高品質な加工が可能です。
  • コスト削減:自社で設備を導入し維持するコストを削減できます。
  • 生産効率の向上:加工工程を外部に委託することで、自社の生産ラインを効率的に運用できます。
  • 柔軟な対応:短期間での大量生産や小ロットの試作品の製造など、柔軟な対応が可能です。

粉体受託加工の使用用途

1. 概要

顧客の要望に応じ粉末を加工する粉体受託加工は、様々な目的で使用されます。下記は具体例の一部です。

  • 粉体化と同時に粒子コーティングによって親水性物質を疎水性粒子にする
  • 大粒径をミクロン、ナノ粒子へと細粒化する
  • ブロード粒度分布をシャープ粒度分布にする
  • 数種類の物質を均一に混合する
  • 結晶を粒成長させる

2. 粉体受託加工の加工物

粉体受託加工で加工される主な素材には下記のようなものがあります。様々な産業用途で使用される多様な素材で粉体受託加工が可能です。

  • ガラス粉末、ガラス繊維
  • セラミックス (窒化アルミ、ジルコニアなど)
  • 金属酸化物 (酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナなど)
  • 樹脂 (熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂) 
  • カーボン材料、CNT、活性炭
  • 合金
  • 希土類
  • 触媒担体
  • 蓄光材料
  • 顔料
  • 蒸着材料
  • 放熱フィラー、封止材
  • 農薬、抗菌材、化粧品
  • 医薬品原体、医薬品中間体各種薬品
  • 食品、香料、食品添加物

粉体受託加工の原理

1. 粉体加工の概要

粉体加工には、

  • 粉砕
  • 分級
  • 造粒
  • 表面処理
  • 混合
  • 乾燥
  • 焼成

などの加工があり、それぞれの目的に応じて適切な加工が行われます。 (詳細は後述)

粉体加工は、製品の特性や性能に直接影響を与えるため非常に重要であり、多くの産業分野で利用されています。

2. 受託の流れ

基本的な粉体受託加工の依頼の流れは下記のようになります。

  • 加工依頼
  • 見積書提示
  • 加工スケジュール
  • 試作品製造
  • 実機製造

粉体受託加工の種類

粉体受託加工で行われる主な粉体加工には下記のようなものがあります。

1. 粉砕加工

粉体の粉砕加工とは、各種材料をボールミル、ハンマーミル、ピンミル、ビーズミルなどを用い機械的に砕き、微細な粉末にする工程を指します。粒子サイズの縮小、均一化、混合性の向上などを目的とし、任意の粒子径に粉砕することが可能です。

2. 分級加工

粉体の分級加工とは、粉体を粒子サイズや密度などの特性に基づいて分類する工程を指します。このプロセスは特定の用途に適した粒子サイズを得るために重要となります。主な分級方法はふるい分け、空気分級、遠心分級などがあります。

3. 造粒加工

粉体の造粒加工とは、微細な粉末を集めて一定の大きさや形状の粒子(グラニュール)に成形するプロセスを指します。湿式造粒、乾式造粒、噴霧乾燥造粒方式などが用いられ、多様な目的や用途に合わせて、数十ミクロンサイズからミリサイズの粒状物を成形します。造粒された粉体は、流動性の向上、粉塵の減少、圧縮性の向上、均一な混合などの利点があります。

4. 表面処理加工

粉体の表面処理加工とは、粉体の表面にコーティング、表面改質、化学修飾などの処理を施し、特定の機能や特性を付与するプロセスを指します。表面処理は、粉体の物理的および化学的性質を改善し、製品の性能を向上させるために行われます。この加工は、粉体の付着性、流動性、耐腐食性、耐摩耗性、親水性・疎水性などを改善するために使用されます。

5. 混合加工

粉体の混合加工とは、ミキサーなどを用い異なる粉体を均一に混ぜ合わせる工程を指します。混合の均一性は、最終製品の性能や品質に直接影響を与えるため、適切な混合方法と装置を選定することが重要です。

6. 乾燥加工

粉体の乾燥加工とは、粉末材料の水分や溶媒を取り除く工程を指します。乾燥加工は、粉体の流動性、保存性、化学的安定性を向上させるために重要なプロセスです。乾燥にはスプレードライ、流動層乾燥、真空乾燥、熱風乾燥などといった方法があり、粉体の性質や用途に応じて選ばれ、効率的に行われることが求められます。

7. 焼成加工

粉体の焼成加工とは、ガス炉や電気炉などを使用し粉末状の材料を高温で加熱し、物理的および化学的変化を促進する工程を指します。焼成は、粉体を固化、焼結、または特定の物性を持つ材料に変換するために行われます。主にセラミックスや金属粉末の製造に使用され、材料の強度、硬度、耐熱性、電気的特性などを向上させるために重要なプロセスです。

粉体受託加工のその他情報

1. 品質管理に使用される機器の種類

粉体受託加工においては、テスト加工品の測定・評価及び受託業務開始後の品質管理が重要とされます。品質管理に使用される機器の種類は企業によっても異なりますが、下記のようなものがあります。

  • 粒度測定機
  • 蛍光X線分析装置、X線回析装置
  • SEM
  • 比表面積測定装置
  • 熱分析装置
  • 色差計
  • 赤外線水分計
  • 分光計
  • 嵩密度計

本記事は粉体受託加工を製造・販売するハクスイテック株式会社様に監修を頂きました。

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