シャックル

シャックルとは

シャックルとは、重量物の吊り上げ・固定時にスリングと重量物の連結に使用する金具です。

クレーンなどで重量物を吊り上げ移動させる場合、ワイヤロープなどのスリングと重量物を安全確実に連結する用途でシャックルは広く使用されています。他にも、船舶の係留、アウトドアなど様々な場面でシャックルが使用されています。

近年、製造業、建設業の発展に伴い、耐荷重が大きく軽量の高強度シャックルが開発されています。同じ耐荷重のシャックルであっても、大きさや形状、シャックル単重、耐久性などが異なる多種多様なシャックルがあります。

シャックルは安全面に関わる重要な金具であるため、使用する際には耐荷重・形状を始め使用用途に適したシャックルを選択することが大切です。

シャックルの使用用途

シャックルは様々な場面で使用されています。以下はその使用用途の一例です。

1. 重量物の吊り上げ

シャックルは、製造業の現場や建設現場、資材置き場など様々な場所で使用されています。クレーンやホイストで重量物を吊り上げる際に、ワイヤロープやチェーンと重量物をシャックルで連結しています。

土木工事で矢板の引き抜きを行う際には、作業性の良さからロングタイプのシャックルが使用されることが多いです。

2. 重量物の固定

トラックでの輸送時に重量物をトラックに固定する場合にも、シャックルを使用しています。

3. 船舶などの係留

ボートや船舶などの係留時に、チェーンやロープとの連結にシャックルを使用しています。表面処理の施されたステンレス製のシャックルを使用すると、高価にはなりますが防錆性・耐久性をあげることが可能です。

4. 消波ブロックの連結

消波ブロック同士の連結には、強度のある鍛造タイプのシャックルがよく使用されています。

5. アウトドア

クライミングやスラックラインなどのアウトドアでも、ロープ、アンカーなどとの連結にシャックルを使用する場合があります。

シャックルの構造

シャックルは本体と、本体を閉じるためのボルト (ピン) で構成されています。

1. 本体

ワイヤロープなどのスリングを引っ掛ける部分をもつ本体は様々な形状がありますが、代表的なものとしてストレート型とバウ型があります。

・ストレート型

ストレート型はU字形状で、スリングを引っ掛ける部分であるふところが狭く、バウ型と比べ軽いのが特徴で主に一本吊りの時に使用されます。

・バウ型

バウ型はおたふくとも呼ばれる様にふところが広いので、複数のスリングを掛けても重なりにくくなっており、多重吊りの時に使用されることが多いです。

2. ボルト (ピン)

ボルト (ピン)部分は、ボルト・ナット型とねじ込み型があります。

・ボルト・ナット型

ボルトとナットで止めた後に割ピンを入れてナットの抜け落ちを防ぐため、振動が多い場所での使用に適しています。取り外しの作業性は下がるため、取り外しの頻度が少ない場合に使用されることが多いです。

・ねじ込み型

ボルトのつまみ部分の開いた穴に、棒を差し込んで増し締めや取り外しを容易に行うことができ、スリングの取り外しが多い場合に適したタイプです。

3. シャックルの取り付け

シャックルの取り付けの際は、ボルトの回転を防ぐため、シャックルの本体側にワイヤロープなどの振動する側を、シャックルのボルト側に固定されている側がくる様に取り付けます。

4. シャックルの素材

シャックルの素材は、強度や重さ、性質が異なる、鉄・アルミ・ステンレスなどの金属を使用しています。

シャックルの選び方

1. 耐荷重

シャックルを使用して安全に重量物を吊り上げるためには、耐荷重を満たすことが重要です。この耐荷重は、縦方向に荷重をかけることを前提とした値です。耐荷重を超えて使用すると、シャックルの破損、重量物の落下につながる可能性があり危険です。

2. 形状・サイズ

スリングが一本吊りの場合はストレート型、多重吊りの場合はバウ型のシャックルを選択するのが一般的です。ボルトのタイプは、取り外しの頻度や緩みにくさを考慮して選択します。

また、連結するスリングのサイズや作業性を考慮しながら、最適なサイズのシャックルを選択することが必要です。

3. 素材

シャックルの素材や表面処理により、強度や重さ、防錆性・耐久性など特性が異なります。

鉄は、強度が高く比較的安価で多くの場所で使用されていますが錆びやすい欠点があります。

ステンレスは、鉄より高価になりますが錆びにくく耐久性があります。

アルミは鉄やステンレスより強度は劣りますが、軽量で持ち運びに適しています。

素材にメッキや塗装を施し錆びにくくしたものや、熱処理を施し強度を上げたシャックルもあるので、使用環境やコストを考慮しながら選択します。