静電アクチュエータとは
静電アクチュエータとは、静電気力で発生するエネルギーを動力に変換し、物体を動かす働きをもつ装置です。
静電アクチュエータで主に使われているのは光学分野です。使われている部品としては可変焦点レンズ、シャッター、ディスプレイなどがあります。
特徴としては軽量、柔軟、薄型、透明が挙げられます。特徴を生かして、光学分野以外にも人間への適用が期待されています。
研究例としてはロボットの人工筋肉、義手、義足などがあります。実際の人間のパーツに近い動きができるようにするための開発が進んでいます。
静電アクチュエータの使用用途
- MEMS
MEMSの駆動装置として、静電アクチュエータはよく利用されています。
MEMSとは微小な電気機械システムという英語の略称であり、半導体、電子回路などをまとめた総称を指します。
MEMSも半導体を含んでいますが、可動部がある点が一般の半導体と異なります。
半導体が用いられる部品は小型化が求められているため、薄膜化できる静電アクチュエータが必要になります。
- 人工筋肉
介護ロボット、義足、義手など人間の動きをサポートする装置は柔軟かつ複雑な動きが求められます。そこで人工筋肉の検討が行われており、その駆動力に静電アクチュエータが用いられています。
静電アクチュエータの原理
静電アクチュエータの原理は、平行平板型のコンデンサです。コンデンサは電気を蓄えたり放出したりする働きがあります。この時静電気力が発生し、駆動力に変わります。
発生する静電気力は平板の面積に比例し、平板間距離の2乗に反比例します。このことからできるだけ薄膜化すると静電気力が増加し、大きな駆動力を得ることができます。
静電アクチュエータは微小なため、発生する駆動力の絶対値が小さいという短所があります。短所を改善するため、薄膜化以外にも並列に並べて面積を増やし、駆動力を大きくする方法がとられています。
静電アクチュエータ以外にも利用する力により、下記のアクチュエータが存在します。
それぞれ長所と短所があるため、使いわけることが重要です。
- 熱アクチュエータ
長所は製作が容易なことです。短所は材料の異方性により、使う場所で駆動力が変わってしまうことです。 - 電磁アクチュエータ
液中でも使えるので用途の幅が広くなります。短所は小型化が困難です。 - 圧電アクチュエータ
長所は駆動力が大きいことです。短所はヒステリシスロスが起き、与えたエネルギーより駆動力が弱くなる場合があることです。
参考文献
http://journal.vrsj.org/13-2/s8-12.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/90/2/90_36/_pdf/-char/ja
http://toshi.iis.u-tokyo.ac.jp/toshilab/?en/What%20is%20MEMS%3F/Microactuator
https://www.jel-robot.co.jp/term/term005.html