静電気試験機

静電気試験機とは

静電気試験機は一般的に「静電気」と呼ばれる放電現象、つまり帯電したヒトやモノなどが電子機器に放電した際に生じる電気のエネルギーを評価するために使用する試験機です。静電気試験はイミュニティと言われるノイズ耐性を評価するIEC規格(国際標準電気規格)のEMC試験の中でも重要な1試験項目であり、ESD(静電気放電)試験とも呼ばれています。実際の試験機の出力電圧は装置によって異なり、製品に応じた各種規格に準拠した試験に適した試験機を選定します。

静電気試験機の使用用途

日本においては静電気放電試験の規格は特にありません。しかしIEC国際規格では「静電気放電に対するイミュニティ試験法」があり、欧州のEMCでも規格番号EN55014-2やEN61000-4-2における試験条件に静電気放電試験が含まれており、本試験は国際標準規格として重要な項目です。

静電気試験の国際規格では機器が静電気に耐えられる程度を複数のレベルで区分しており、接触放電による静電気試験では、最初のレベルが2kV印加、 次のレベルが4kV印加、その次が6kV印加、さらに上が8kV印加と区分が規定されています。この試験で使用される試験機が静電気試験機です。

静電気試験機の原理

静電気試験機は大気中でヒトの体に帯電した電気が放電する現象とは異なり、安定した放電が出来るため接触タイプの放電方式を採用しています。

接触タイプの装置ではエネルギー蓄積用コンデンサの電荷を使って事前に被試験機に接触させた放電電極に、放電抵抗を介して静電気試験機の銃(ガン)内部にある高電圧リレーを印加します。この接触タイプの放電は気中で花火の様に放電する気中タイプの放電方式に比べて、高圧で封じ込めた不活性ガスの中に備えられた高電圧型のリレーを使った機械式接点を介しており、精度の高い放電が可能になります。

現在主流の静電気試験機は接触放電方式を採用しています。接触型の放電は空気中で放電する気中タイプと比べて高精度な放電になることは前述しました。IEC規格ではこの信頼性の高い放電となる接触型の放電における放電時に印加する電流波形が規定されています。この放電時の印加電流波形はオシロスコープ等を用いて抵抗の電圧降下(電流)という形で測定可能なので、試験前に波形確認をすることで規定に準拠した測定が可能です。

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