作業環境測定

作業環境測定とは

作業環境測定

作業環境測定はガスや蒸気、粉じんなどの有害物質や騒音や放射線、高熱などの有害なエネルギーによって作業者が疾病を患うことを予防するために行う、作業環境の実態を把握する測定です。

作業環境測定は労働安全衛生法にもとづいて行われており、同法第2条第4号では作業環境の実態を把握するための空気環境やそのほかの作業環境について行うデザイン・サンプリング・分析・解析を作業環境測定に含む作業としています。

事業者は有害業務を行う作業場においては必要な作業環境測定を行わなければならないと安衛法で定められています。具体的な作業場としては粉じんが発生する場所や特定化学物質を製造する場所など10種類の作業場が挙げられます。

作業環境測定法と作業環境測定士

作業環境測定を行う際は厚生労働省令に基づいた方法で行わなければなりません。

作業環境測定などを適切に実施するために必要な事項を定めた法律が作業環境測定法で、同法第3条では指定作業場の作業環境測定は作業環境測定士、もしくは作業環境測定機関が実施する必要があると定められています。

作業環境測定士は区分ごとに第1種と第2種に分類され、第1種作業環境測定士は作業環境測定に関する業務全般を行うことができる人で、第2種作業環境測定士は解析を含む分析業務を除いた作業環境測定業務を行うことが認められている人です。

なお、作業環境測定の実施回数、測定の方法、測定結果の記録を保存する年数等も安衛法などの法令で定められています。

作業環境測定の管理区分

作業環境測定における測定対象物質ならびに管理濃度は物質ごとに基準が定められています。

作業場の単位作業場所ごとに平均的な環境状態を反映したA測定、高濃度で物質をばく露しうる条件であるB測定と呼ばれる測定を行い、測定結果と管理濃度を比較することで作業場の管理区分を評価します。

評価結果は第1管理区分から第3管理区分までの3段階評価で表され、区分に応じて行うべき処置が変わります。最も対策が必要なのは第3管理区分で、当該場所での作業では呼吸用保護具の装着などの対策が必要です。

  • A測定

    A測定とは作業場所における有害物質の平均的な状態を把握するための測定で、作業場で等間隔に測定点を選んで測定します。

    なお、原則として測定点の間隔は6メートル以下です。そして各測定点の測定値の統計処理を行い、結果を正規化したときに母集団の95%以上が管理濃度を超えていないときは区分1、区分1の条件は満たさないが平均値が管理濃度を超えないときは区分2、それ以外を区分3として評価します。

  • B測定

    B測定とは有害物質の発生源に近い場所での作業など、作業者が最も高濃度の有害物にばく露すると考えられる条件での測定です。

    B測定の結果も統計処理を行ったのちに基準に対して評価しますが、A測定の基準とは同一ではありません。

    測定結果が管理濃度を下回っている場合は区分1、測定結果が管理濃度以上でかつ管理濃度の1.5倍以下であるときは区分2、測定結果が管理濃度の1.5倍を超えるときは区分3となります。最終的な管理区分はA測定とB測定の結果から決定されます。

作業環境測定対象の有機溶剤

作業環境測定を実施する作業場の一つとして特定化学物質を製造、または取り扱う屋内作業場、特定有機溶剤混合物を製造、または取り扱う屋内作業場が挙げられます。

具体的に述べると特化則36条で第1類、第2類物質に該当する特定化学物質、有機則の第1種、第2種有機溶剤に該当する有機溶剤が測定対象です。

特定化学物質はガンなどの慢性、遅発性障害を引き起こす可能性がある物質で、塩化ビニルベンゼンジクロロメタンなどが第2類物質に該当します。

一方で有機則の対象となる有機溶剤は有機溶剤中毒を引き起こす危険性がある化合物で、アセトントルエンなどが該当します。

なお、特定化学物質と有機則の有機溶剤の両方に該当する化合物もあります。

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