比重計

比重計とは

比重計

比重とは、ある特定の物質の質量を、それと同体積の標準物質と比較した時の比率の事であり、一般的には標準物質として4℃の水が用いられます。

比重計は、この比重を測定するための装置です。なお、比重という用語は、固体、液体、気体のいずれにも用いられますが、本記事では液体の比重を測定するための装置について解説します。

まずはじめに、物体に働く浮力について整理すると、水の比重を1とする場合、対象物質の比重が1より大きければ水に沈み、小さければ浮きます。この原理を利用したものが、最も一般的な浮ひょう(浮き秤)型の比重計です。

これは、液体に浮かせてその目盛りを読み、その値から比重を測定する秤であり、図1のような形状を持ちます。

比重計の概略図

図1. 比重計の概略図

比重計は、図1に示したような浮ひょう型のものが主流ですが、最近ではロードセル方式、振動式、差圧式、放射線式などもあり、表示もデジタルで従来のものよりも簡単に計測できる製品も開発されています。

比重計の使用用途

比重計は、医薬品分野、食品加工分野、工業分野、科学研究分野などのような幅広い分野において、様々な用途で使用されています。

具体的には以下の通りです。

  • 海水の塩分濃度測定
  • ジュースの材料となる果実の糖度測定
  • 半導体、メッキ、バッテリー電解液など、工業に用いられる各種薬液の濃度測定
  • 牛乳中の脂肪分の測定
  • アルコール製品の水の体積比によるアルコール度数測定
  • 石油製品中の不純物含有量の測定

比重計の原理

比重計の基本的な構造は図1に示した通りであり、胴部とけい部で構成されています。 胴部は浮力を保ち、けい部には目盛りが入れられています。

胴部の底には、浮力調整用の錘が内包されています。 胴部を測定したい液体に入れると、浮ひょうは、液体の中に沈んだ体積に応じた重さに等しい浮力を受けます。

その結果、浮ひょうは、自重と浮力が釣り合う分だけ液体中に沈むことになります。けい部には目盛りがふられおり、浮ひょうの浮きが平衡に達した時点で、水面に一致する目盛りの示度を読み取ります。

多くに場合、浮ひょうはガラスで作られていますが、プラスチック製のものもあり、用途に合わせて選ぶことができます。

比重計のその他情報

浮ひょう以外の比重計について

比重計には、浮ひょう以外にもロードセル方式、振動式、差圧式、放射線式などがあり、これらの比重計は主に工業分野で用いられています。

ロードセルとは、力の大きさを電気信号に変換する機械であり、液体中に沈めた錘の重量を正確に測定し、その荷重の変化量から試験液体の比重を算出します。

このタイプの比重計は、従来の浮ひょう型比重計と比較して測定精度が高く、また、分析者の技術差が分析結果に影響しにくいというメリットがあります。

振動式の場合は、U字管の内部に試験液体を注入し、外部からU字管を振動させます。この時U字管は、液体分を含むU字管全体の質量に応じて、固有の周波数で振動します。そのため、この周波数からU字管内部の液体の質量を算出し、この値から試料の密度を算出する事が出来ます。このタイプの比重計は、操作が勘弁であり短時間で測定が終了する事もあり、特に食品業界における品質管理など用途で広く用いられています。

差圧式では、測定漕の2点間の圧力の差が液体の比重に比例するという原理が用いられています。 放射線式では、放射性同位元素から放出されるガンマ線の透過率が、物質の密度により変化するという性質を利用しています。

参考文献
https://yokotakeiki.co.jp/contents/resource/various_hydrometers.html
https://www.andokeiki.co.jp/hizyuukei/hizyuukeitop.html

https://www.tactec.co.jp/download/suntex_dl/application_note_sg2110.pdf
https://www.m-system.co.jp/rensai/pdf/r0312.pdf

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