AGV・AMRホイールドライブ

監修:住友重機械工業株式会社

AGV・AMRホイールドライブとは

AGV・AMRホイールドライブとは、AGV(無人搬送ロボット)やAMR(自律移動ロボット)の動力源となる駆動機器で、主に車輪やギアモーター、ドライバなどによって構成されます。

AGV・AMRの駆動用途に適した部品が選定されているため信頼性が高いと言えます。また、各コンポーネントがパッケージ化されているため、選定や調整にかかる設計の手間が省けます。

AGVとは:
Automated Guided Vehicleの略であり、ガイド線や地面に埋め込まれた磁気テープなどを指標に自動で走行する搬送ロボットです。

AMRとは:
Autonomous mobile Robotの略であり、センサーやレーザースキャナーなどから得られた周囲環境の情報を元に移動経路を生成し、ガイドレスで自律的に移動する教送ロポットです。

AGV・AMRホイールドライブの使用用途

AGV・AMRホイールドライブは、様々な産業でモノを運ぶ搬送ロボットとして活躍するAGV・AMRに使用される駆動機器です。

1.製造業

生産ライン上での部品や製品の移動に使用され、生産プロセスの効率化や生産能力を向上させることが可能です。

2.物流倉庫

棚からピックアップした商品を出荷エリアに運搬する際など、商品の移動を自動化する目的で使用されています。

3.小売業

RFIDリーダーが搭載されたAGV・AMRを活用して、商品の在庫管理を効率化することができます。

4.医療施設

医療用品の配送や廃棄物の回収などに使用され、医療スタッフの負担を軽減させることが可能です。

5.スマート農業

スマート農業では、AGV・AMRに取り付けられた産業用ロボットが農作物を自動で収穫します。また、AGV・AMRは収穫した農作物の運搬作業も担います。

AGV・AMRホイールドライブの原理

AGV・AMRホイールドライブは、AGVやAMRを制御する駆動機器で、主に車輪(ホイール+タイヤ)やギアモーター、ドライバなどによって構成されています。

1. 車輪(ホイール+タイヤ)

AGV・AMRでは、車輪が重要な役割を果たします。地面との接触点であり、モーターからの動力を受けで車体を移動させます。

一般的にはゴムやポリウレタンなど耐久性に優れた素材が使用され、長寿命で摩擦にも強い点が特徴です。車輪の設計はAGV・AMRが様々な路面環境で効率的に移動するために重要です。

2. ギアモーター

ホイールドライブでは車輪を回転するためにギアモーターが使用されます。ギアモーターはモーターと減速機を組み合わせた機器であり、高いトルクで車輪を回転させることが可能です。ギアモーターは一般に、小型で耐久性の高いものが求められます。

3. ドライバ

ドライバはモーターの回転を制御する機器です。モーターに取り付けられた回転検出器から得られる位置情報を用いて回転数を制御します。モーターの性能や動作特性を最大限発揮するために重要な要素です。

AGV・AMRホイールドライブの選び方

AGV・AMRホイールドライブを選ぶ際は、主に以下の選定要素を考慮します。

1. 耐荷重

AGVやAMRの自重および運搬する荷物の重さに応じて、適切な耐荷重を確保して、製品を選定する必要があります。耐荷重はAGVやAMRが安全かつ安定して荷物を支持/運搬できる最大質量を指します。

2. 最大速度

AGVやAMRの移動速度は、作業環境や作業内容に応じて調整することが重要です。タクトタイムを短くしたい場合は高速で駆動させる必要があります。また、荷重の重さや斜面の傾斜などに対して適切なトルクを出力する必要があります。

3. コンパクト性

AGV・AMRの限られたスペースにホイールドライブを搭載するには、コンパクト性が非常に重要です。コンパクトでありながら高トルク・高耐荷重を実現している製品が望まれます。また、コンパクト性の高い製品であればAGV・AMRの低床化にも寄与することができます。

4. 制御性

AGVやAMRの制御性は、走行・停止の正確さに大きく影響します。正確な位置決めや高応答性を実現するには、モーターに搭載されている回転検出器やセンサー、制御システム全体の性能を考慮する必要があります。

5.安全機能

回転検出器やドライバに安全機能および安全認証を取得しているかを確認することが大切です。

本記事はAGV・AMRホイールドライブを製造・販売する住友重機械工業株式会社様に監修を頂きました。

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