ステッピングモータードライバーとは
ステッピングモータードライバーとは、ステッピングモーター専用の駆動装置です。
ステッピングモーターは電気的なパルス信号によって回転角度や軸位置を制御するモーターです。ステッピングモータードライバーは、パルス信号を生成してモーターに供給する装置です。
微細なステップでモーターを回転させることができるため、非常に精密な位置制御が可能です。このため、精密な位置決めや移動が必要な用途に適しています。したがって、3DプリンターやCNCマシンなどの高度な用途に使用されます。
ステッピングモータードライバーの使用用途
ステッピングモータードライバーは精密な位置制御が必要な用途で使用されます。以下はその一例です。
1. 3Dプリンター
3Dプリンター内部では、ステッピングモータードライバーが各軸(縦、横、奥行き)の動きを制御しています。これにより、精密な位置制御が可能であり、レイヤーごとの積層が正確に行われます。これに加えてフィラメントの供給やホットエンドの移動によって、3Dモデルが構築されます。
2. CNC加工機
CNC加工機はコンピュータで自動制御する加工装置であり、精密部品などの製作に使用されます。本加工機の内部では主にステッピングモータードライバーによって各軸の動作を制御します。これにより、工作物に対する加工工具の位置と進行方向を精密に制御することが可能です。
3. ロボットアーム
工業用ロボットアームは自動車の組み立て作業などに使用されますが、各関節の動作はステッピングモーターなどによって制御します。したがって、動作範囲と精度はステッピングモータードライバーの性能に依存します。多軸の制御が必要な場合は、複数のステッピングモーターを使用することも多いです。
4. 紡織機械
紡織産業において、ステッピングモーターによって織機や刺繍機の動作を制御する場合があります。これにより、織り方や刺繍のパターンが正確に制御することが可能です。糸の供給や織りのピッチ・速度などを制御することで、正確で均一な織物を製作することできます。
ステッピングモータードライバーの原理
ステッピングモータードライバーの仕組みは、ステッピングモーターを制御するためのパルス信号の生成と、それに基づく電流制御に基づいています。電源回路や制御回路、保護回路などで構成されます。
ステッピングモータードライバーはモーター駆動用の電源回路を有します。DC電源入力の場合は直接モーターへ送電する場合もありますが、AC電源入力の場合は一度DC電源へ整流することが多いです。一般的にはトランジスタやサイリスタなどを使用して整流されます。
制御回路にはマイクロコントローラーや制御ICなどを使用する仕組みです。外部からの指示に基づいて電圧をパルス状に立ち上げ、モーターの動作を制御します。これにより、モーターの速度や方向などを制御することが可能です。
保護回路はモーターやドライバー自体を損傷から保護するための機能です。モーターやドライバーには許容される電流値が存在し、これを超過した場合は回路が過熱して損傷します。したがって、保護回路に過電流保護・過熱保護を組込み、装置が暴走しないようにすることが多いです。
ステッピングモータードライバーの選び方
ステッピングモータードライバーを選定する際は、以下を考慮することが重要です。
1. 入力電圧
入力電圧はステッピングモータードライバーに供給する電源電圧です。一般的なDC12VまたはDC24Vの製品が多く販売されています。ただし、大容量の製品では、AC100VやAC200V入力も可能な場合もあります。
2. 出力電圧
出力電圧はステッピングモーターへ供給する電圧です。小型モーターに対してはDC5Vで送電することも多いです。駆動するステッピングモーターの定格電圧の仕様に合わせて選択する必要があります。
3. 許容電流
ステッピングモータードライバーが供給できる最大電流を示す指標です。モーターの定格電流よりも大きい電流を供給することができる必要があります。高出力のモーターへ供給する場合は、許容電流が高いモータードライバーが必要となります。
4. ドライバタイプ
ステッピングモータードライバーのドライバタイプは、制御信号の種類によって異なります。一般的にはパルスと方向の入力、またはパルス列入力を受け付けるドライバーが多いです。一部のモデルでは他の入力方式も使用可能です。