シンナー再生機とは
シンナー再生機とは、塗料やインキ、樹脂などが混入した廃溶剤 (シンナーなど) を回収・リサイクルするための装置です。
別名では、ソルベントリサイクラー、溶剤再生機、溶剤再生装置などと呼ばれることもあります。再生された溶剤は、洗浄用の溶剤として使用される他、再生液と新液を混ぜて使用される場合もあります。廃溶剤の再生により、資源の有効活用、産業廃棄物の処理費用の削減、新規溶媒の購入費用の削減などに貢献する装置です。
シンナー再生機の使用用途
シンナー再生機は、溶剤を使用する多くの産業において用いられています。主な使用産業並びに具体的な使用例は、下記の通りです。
1. 輸送用機器・機械
- 自動車やその関連部品の製造・修理
- 航空機製造・修理
- 造船 (鉄船・FRP船)
2. 電子機器
- 精密部品加工
- 基盤加工
- 半導体等脱脂洗浄工程排気処理
- その他エレクトロニクス
3. 印刷
- ペイント・インキ製造
- グラビア印刷
- オフセット印刷
- フレキソ印刷
4. 金属
- 金属加工ならびに脱脂
- 金属家具製造
5. 化学・医薬品
- 薬品・樹脂などの製造における乾燥・反応工程排気処理
- 医薬品原体・中間体の製造における合成反応・遠心分離・貯蔵タンクからの排気処理
- プラスチック製造・加工
シンナー再生機の原理
1. 概要
シンナー再生機は、廃溶剤を蒸留することにより再生溶剤を取り出す仕組みです。廃溶剤の再生機構の概要は下記の通りです。
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蒸留タンク内に廃溶剤を投入します。
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蒸留タンクをヒーターなどで加熱して廃溶剤を気化させます。ヒーターは通常、底部などに埋め込まれています。
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溶剤蒸気が気化して、空冷コンデンサー内に入ります。
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冷却ファンでコンデンサーが冷却され、溶剤蒸気が液化します。
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再生溶剤が回収されると共に、樹脂や顔料などが固形の廃棄物として排出されます。
2. 再生処理可能な溶剤
- 炭化水素系溶剤: キシレン、トルエン、n-ヘキサン、イソヘキサンなど
- アルコール系溶剤: メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール (IPA) など
- ケトン系溶剤: アセトン、メチルエチルケトン (MEK) 、メチルイソブチルケトンなど
- エステル系溶剤: 酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ノルマルプロピルなど
- ハロゲン系溶剤 (塩素系やフッ素系・臭素系) :塩素系溶剤:塩化メチレン、トリクロールエチレン、テトラクロールエチレンなど
3. 再生困難な溶剤
シンナー再生機は多くの溶剤を再生処理することが可能ですが、下記のような場合は再生処理することが困難です。
- 沸点が280℃以上の場合
- 廃液もしくは、再生液が酸性やアルカリ性の場合
- 粘度が高い場合
- ニトロセルロースが混入されている溶剤
- 水
ニトロセルロースは、インキ・塗料に含まれる場合がある物質ですが、135℃~165℃で発火する物質であるため、大変危険です。
シンナー再生機の種類
シンナー再生機には様々な種類があり、用途に合わせたものを使用することが重要です。
1. 連続式とバッチ式
シンナー再生機には、連続式とバッチ式とがあります。連続式とは、シンナー再生機のタンク内の廃溶剤が減ってくるとポンプで連続自動充填される方式です。廃溶剤の減少は蒸留タンク内の液面センサーで感知されます。
バッチ式は、タンクに一回充填した分の廃溶剤のみを処理します。
2. 圧力
シンナー再生機には常圧で蒸留する製品と減圧で蒸留する製品とがあります。常圧で蒸留する製品の場合、主に溶剤の沸点温度が約50℃~180℃の溶剤を処理することが可能です。
それよりも沸点の高い溶剤を処理する場合は減圧式の製品を用いる必要があります。減圧式の製品では概ね沸点250℃までの溶剤に対応しています。
3. その他
シンナー再生機には、様々な大きさが有り、10〜600Lまでの様々な廃溶剤容量に対応しています。また、防爆型と非防爆型があり、防爆型では防爆モーターが使用され、モーターと電気制御系統がカプセルで覆われた構造です。自動運転、自動停止機能を備えた装置もあります。