グレーチング

グレーチングとは

グレーチング

グレーチングとは

グレーチング (英: Grating) とは、金属などを格子状に組み合わせた建築用の構造物です。

普段の生活では、グレーチングという言葉をあまり耳にすることはありませんが、屋外を歩いているとよく見かけられます。例えば、道路の排水用側溝上にある格子状の金属ふたです。

格子状になっていることで、雨水を排水用側溝に流し、物や人の足や車のタイヤが溝に落ちないようにしています。また、最近では住宅室内の床材として使用されています。

グレーチングの使用用途

一般的なグレーチングの使用用途は、以下の通りです。

1. 排水用側溝の溝ふた

図2_グレーチング

図1. 排水用側溝の使用例

排水溝に人の足や自動車のタイヤがはまり込み落ちないように、側溝上面に覆いかぶせるふたにグレーチングが使用されています。また、大きなゴミなどが側溝に入り排水の流れを阻害しないようにする目的もあります。

2. 住宅室内の床板

住宅内の2、3階面の渡り廊下や踊り場などの床板としてグレーチングが使用されることがあります。階上のからの太陽光が遮光されず、階下の明かりを確保できるため使用されています。

3. 工場建屋内の床板

グレーチング_図2

図2. 工場・発電所の使用例

一般的に装置や機械に人がアクセスし、点検や作業を行うために、工場や発電所の建屋内に敷設する床板としてグレーチングが使用されています。また、現場で機械や部品をグレーチング上でメンテナンス (分解、修理、組み立てなど) することがあります。

そのため、機械や部品重量を支える十分な耐荷重が必要です。グレーチングは、縞鋼板 (チェッカープレート) などの床板材に比べ耐荷重に優れているため使用されています。また、床板以外にも階段の踏み板にもグレーチングが使用されています。

4. 機械など点検作業用の床板

工場建屋内と同様に、屋外等に設置されている設備や機械などにも、人がアクセスし点検や作業を行うための床板としてグレーチングが使用されています。

グレーチングの原理

グレーチング_図3

図3. 圧接式グレーチングの構造

グレーチングは、鋼板などを格子状に組み上げたスノコのような構造材です。ここでは、一般的な圧接式グレーチングの構造を説明します。構造の詳細は上記 図3を参照して下さい。

圧接式グレーチングは、主部材のメインバーと補助部材のエンドプレート、メインバーの間隔 (ピッチ) や垂直・平行を維持するためのツイストバーで構成されています。

1. メインバー

メインバーは、主に荷重を支持するための主要部材で、平板のフラットバーと断面がI形のアイバーなどがあります。メインバーが等間隔で平行に並べられ組み立てられています。メインバーの厚みと高さ、およびグレーチングの幅と長さは、グレーチング上に加わる荷重をもとに選定します。各寸法と高重は各メーカーの選定表を参照して下さい。

2. エンドプレート

エンドプレートは、等間隔に並べられたメインバーの周囲四方を囲むように、溶接し取り付けた縁取りの鋼材です。フラットバーやL型アングルの鋼材などが使われます。

3. ツイストバー

ツイストバーは、ねじり六角鋼材でメインバーに直角方向に接合されています。メインバーの垂直・平行を維持するための部材です。メインバーのピッチ (間隔) は、普通目・並目と細目があります。グレーチングを設置する目的に合わせて選択します。

ツイストバーのピッチ (間隔) は、100mmと50mmピッチがあります。道路の排水溝用ふたには、自転車やベビーカーの車輪がはまり込み難くするよう50mmピッチが使用されるケースが多くなっています。

グレーチングの種類

グレーチングには、形状や用途による種類があり、代表的に下記の4種類になります。

1.  溝ふたタイプ

グレーチング_図4

図4. グレーチングの種類 (1)

溝ふたタイプは、道路脇の側溝用のふたに使用されています。側溝は、コンクリートでできた受枠でつくられ、受枠の上に覆いかぶせるように設置します。道路や公園など、人や車両が通る箇所は、ボルトなどでグレーチングが動かないように固定されている場合もあります。

2. かさ上げタイプ

かさ上げタイプは、溝ふたタイプの下面に長さ方向の脚を取り付け、かさ上げしたタイプです。特定の受枠が必要なく、さまざまなタイプの溝に使用できることが特徴です。

3. ますぶたタイプ

グレーチング_図5

図5. グレーチングの種類 (2)

ますぶたタイプは、側溝のところどころにある集水桝のふたに使用されています。形状がほぼ正方形であることが特徴です。この場合の受枠も同様の正方形をしているものを使用します。

4. U字溝タイプ

U字溝タイプは、溝上部にグレーチングを受ける段差が付いていない場合に使用されています。溝の上からグレーチングをはめ込むだけでふたがされるタイプとなっています。また、グレーチング自体の仕様・寸法に関しては、JIS規格で規定されていません。

グレーチングのその他情報

1. グレーチングの表面処理

スチール製グレーチングの場合は、材料そのままでは大気中の水分ですぐに錆が発生してしまいます。そのため、錆防止を目的に下記のような表面処理が施されています。

溶融亜鉛メッキ
鋼と亜鉛の合金被膜によって錆から守る表面処理方法です。溶融した亜鉛槽に浸漬して施工します。道路の側溝など一般的に多くみられるグレーチングに使用されています。

アルミ合金メッキ
アルミニウムやマグネシウムを加えた合金によるメッキで、海に近い沿岸地域や融雪剤を使用する道路に使用されています。 

ナイロンコーティング
耐候性、絶縁性、耐薬品性に優れていて、艶があり美しい仕上がりの表面処理です。

2. グレーチングの材質

スチール製のグレーチング以外の材質として、下記の2つが挙げられます。

  • ステンレス製グレーチング
  • FRP製グレーチング

耐久性や耐食性、美観が求められる場所、海の近く、薬品などを扱う場所では、ステンレスグレーチングやFRP (ガラス強化プラスチック) 製グレーチングなどが使用されています。 

3. グレーチングの仕様

メインバーの間隔
メインバーが連続して並ぶ間隔で、あら目と細目があります。グレーチングを設置する場所も状況に合わせて選択でします。例えば、ピンヒールのかかとやたばこも落とさない隙間のグレーチングで、歩道など歩行者の多い場所に使用されています。 

滑り防止
一般的なグレーチングは鋼製で表面は滑りやすいため、メンバー表面に突起模様を付けることで摩擦を増やし滑り防止機能を追加したものがあります。滑り止めの性能を示す指標として「滑り抵抗値BPN」などが使用されます。

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