ニトリト

ニトリトとは

ニトリト (英: Nitrite) とは、亜硝酸塩を英語で表記したもので、亜硝酸イオンであるNO2を有する塩のことです。

亜硝酸塩は低炭素下では一酸化窒素に還元されますが、一酸化窒素は生命維持に必要であると言われています。その一方で、亜硝酸塩とタンパク質に含まれるアミン類が反応すると、ニトロソアミンを生じますが、ニトロソアミンは発がん性が高いと言われている物質です。

亜硝酸塩とアミン類を同時に摂取しないよう注意喚起されています。国際がん研究機関 (IRAC) でも、人間の発がん性の可能性があるとする (Group 2A) に分類されています。

なお、ニトリトの代表例は、亜硝酸ナトリウム (英: sodium nitrite) や亜硝酸カリウム (英: potassium nitrite) などです。

ニトリトの使用用途

亜硝酸塩の有無を調べる項目が、尿検査にあります。普段、主に野菜から摂取する硝酸塩は、何もなければそのまま体外に排出されます。

しかし、膀胱炎など、尿路の感染症で細菌が繁殖していると、硝酸塩は細菌によって亜硝酸塩に変わるため、尿検査で亜硝酸塩が検出されると尿路感染症かどうか判定可能です。

また、亜硝酸塩は、ハムやソーセージなどの発色剤や防腐剤として使用されていますが、体内に摂取する量が多いと中毒症状を引き起こすため、使用量に制限があります。

ニトリトの性質

ニトリトは低酸素条件下で、血管拡張作用を有する一酸化窒素を遊離します。ニトリトの一酸化窒素への変換は、ミトコンドリア (英: mitochondrion) 、キサンチンオキシドレダクターゼ (英: Xanthine Oxidoreductase) 、一酸化窒素シンターゼ (英: Nitric Oxide Synthase) による酵素的還元です。多くのバクテリアは、ニトリトを一酸化窒素やアンモニアに還元します。

ニトリトは亜硝酸イオンであるNO2を有する塩のことです。つまり、亜硝酸イオン、亜硝酸塩、亜硝酸エステルのいずれかを指します。

亜硝酸イオンの錯体は、アンビデント (英: Ambident) な配位子として働くことが可能です。例えば、酸素原子で配位する際にはニトリト、窒素原子で配位する際にはニトロと呼ばれています。

ニトリトのその他情報

1. ニトリトの合成法

アルカリ金属やアルカリ土類金属のニトリトは、一酸化窒素や二酸化窒素の混合物に、対応する金属の水酸化物を反応させることで合成可能です。それに対して、対応する硝酸塩の熱分解によっても合成できます。それ以外にもニトリトは、対応する硝酸塩の還元により合成可能です。

2. ニトリトの規制値

ニトリトは水質基準などに亜硝酸態窒素の項目が設けられることがあり、地域によって亜硝酸塩換算値や亜硝酸態窒素換算値など、違いが見られます。換算式は「亜硝酸態窒素濃度 (mgN/L) = 亜硝酸塩濃度 (mg/L) × 14/46」で表すことが可能です。

具体的には日本のほか、アメリカ合衆国やシンガポールなどでは、亜硝酸態窒素換算値を採用しています。日本では水道水基準や環境基準の項目で、硝酸および亜硝酸イオンの和が10mg/L、亜硝酸イオン単独では0.05mg/Lと定められました。その後、亜硝酸態窒素に係る水質基準値が加えられています。

3. 亜硝酸ナトリウムの特徴

亜硝酸ナトリウムはナトリウムの亜硝酸塩で、亜硝酸ソーダや亜硝酸Naとよく略記されます。化学式はNaNO2で、白色または黄色の斜方晶系の結晶です。亜硝酸ナトリウムは吸湿性や潮解性を示し、水に溶けて水溶液はアルカリ性になります。

4. 亜硝酸カリウムの特徴

亜硝酸カリウムはカリウムの亜硝酸塩で、化学式はKNO2です。亜硝酸ナトリウムと同様に、海外では食品用防腐剤として使われています。排水処理や燃料電池用金属酸化物膜の製造を代表として、幅広い用途に利用されています。

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