硝酸バリウム

硝酸バリウムとは

硝酸バリウムとは、バリウムの硝酸塩で、別名二硝酸バリウムやビス硝酸バリウムとも呼ばれる物質です。

化学式Ba(NO3)2で表され、分子量は261.34g/molです。化学物質固有の番号であるCAS登録番号は10022-31-8が割り当てられています。

常温常圧では、白色の結晶もしくは結晶性粉末として存在しており、無臭です。水に対する溶解度は20℃で90g/Lと溶けやすいものの、エタノールやアセトンにはほとんど溶けないという性質を持っています。

硝酸バリウムの使用用途

硝酸バリウムは、比較的安定度の高い酸化剤であり、カーリットをはじめ、火工品 (花火,発煙筒など) ・光学ガラス・釉薬・医薬・ゴム薬品といった多岐にわたる分野での製造に使われています。

カーリットとは、過塩素酸アンモニウムを主成分とした爆薬のことです。海外で発明され、1918年特許取得後、日本で発達していった土木作業はじめ広い分野で使われていました。光学ガラスは珪素を主とした珪石や珪砂を主原料としたガラスであり、透明性を損なう不純物が非常に少ないという特徴を持っています。

そのため、レンズやプリズム、光学フィルタ、検出器の窓板など、光を透過させる光学素子やライトガイドなどの光伝搬の際に使用されることが多いです。また、ある試料中にどのような物質が含まれているかを調べる「定性分析」試料としても活用されています。

火薬や爆薬が加工されたものとして知られている火工品は、打ち上げ花火をはじめ、自動車に搭載されているエアバックや、ロケットなどの宇宙開発の分野で幅広く使用されています。日本では「火薬類取締法」に従って、製造を含めた取扱いが規制されています。

硝酸バリウムの性質

硝酸バリウムは、消防法において「第1類酸化性固体、硝酸塩類」に指定されています。そのため、自身は不燃性ですが、可燃物と混合することで発火して激しく燃焼する恐れがあるため、取り扱いには注意が必要です。

硝酸バリウムは強力な酸化剤であり、可燃物質や還元物質と反応します。また、加熱すると分解して窒素酸化物を生じ、金属粉末と反応することで火災や爆発の危険性もあります。

硝酸バリウムのその他情報

1. 硝酸バリウムの法規情報

  • 消防法: 危険物第1類・硝酸塩類・危険等級Ⅲ
  • 毒物及び劇物取締法: 劇物・包装等級3
  • 化学物質排出管理促進法(PRTR法): 非該当
  • 船舶安全法及び航空法: 酸化性物質類・酸化性物質

2. 取扱い及び保管上の注意

硝酸バリウムを取り扱ったり、保管したりする際には、以下の点に注意が必要です。

  • 屋外または換気の良い場所で保管する。
  • 酸化剤、還元剤、可燃物との混合を避ける。
  • 直射日光を避け、冷暗所に保管する。
  • 粉塵が発生する場所での保存の場合、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。

3. 硝酸バリウムの製法

硝酸バリウムの製法としては、以下の方法が挙げられます。

  • 酸と塩基の反応 例) 2HNO₃+Ba(OH)₂→Ba(NO₃)₂+2H₂O
  • 塩基と酸性酸化物の反応 例) Ba(OH)₂+N₂O₅→Ba(NO₃)₂+H₂O
  • 塩基性酸化物と酸性酸化物の反応 例) BaO+2HNO₃→Ba(NO₃)₂+H₂O
  • 塩基性酸化物と酸性酸化物の反応 例) BaO+N₂O₅→Ba(NO₃)₂
  • 弱酸の塩と強酸の反応 例) BaF₂+2HNO₃→Ba(NO₃)₂+2HF
  • 弱塩基の塩と強塩基の反応 例) Sn(NO₃)₂+Ba(OH)₂→Ba(NO₃)₂+Sn(OH)₂
  • 活性金属と酸の反応 例) Ba+2HNO₃→Ba(NO₃)₂+H₂

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0102-0029JGHEJP.pdf
https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/dt/html/GI_10_001/GI_10_001_10022-31-8.html
http://www.hosoya-pyro.co.jp/
https://www.you-iggy.com/ja/chemical-substances/barium-nitrate/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です