ハイパースペクトルカメラ

監修:コニカミノルタジャパン株式会社

ハイパースペクトルカメラとは

ハイパースペクトルカメラとは、広範囲の波長光を捉えることができる高度なカメラです。

光学フィルターや分光器を使用して入射光を細かい波長帯域に分割し、各波長の光強度を記録できます。同じシーンを通常のカメラよりも詳細に分析可能で、汚染物質の検出や食品品質管理などさまざまな応用用途に使用されます。

したがって、ハイパースペクトルカメラは物質の特性を非破壊的に評価することができます。医療診断や食品品質管理などの分野で特に重要な要素で、組織や食品内部の状態を調査し、品質や健康状態を評価できます。

ハイパースペクトルカメラの使用用途

ハイパースペクトルカメラは詳細な波長情報を活用して主に以下の用途で使用されます。

1. 食品産業

食品のスペクトル情報を取得し、品質や成分を評価することが可能です。一例としては果物や野菜の糖度及び脂肪含有量などを非破壊で測定することができます。また、成熟度や腐敗の進行を検査し、食品の保存や流通を改善するためにも使用することが可能です。

2. 医療

医療分野では、血液や組織のスペクトル情報を分析して疾患の診断や治療効果の評価に使用されます。また、薬剤の成分や品質を評価し、医薬品製造および品質管理にも貢献します。

3. 環境測定

環境測定では、大気中の特定ガスや汚染物質の吸収スペクトルを検知でき、大気汚染のモニタリングや汚染源の特定が可能です。また、水中における光の吸収と反射を詳細に観察し、水質の変化や水中生態系の健康状態を評価するのに役立ちます。海洋学や水資源管理に利用される場合も多いです。

4. 農業

農業では作物の反射スペクトルを記録し、作物の健康状態や収穫量の予想などに使用することが可能です。これにより、効果的な農地管理が可能になり、収量の最適化が図られます。また、病気や害虫の早期発見により、作物の損失を最小限に抑えることも可能です。

ハイパースペクトルカメラの原理

ハイパースペクトルカメラは入射光を非常に細かい波長帯域で分割し、各波長での光のスペクトル情報を収集する仕組みです。

まず、鏡やレンズを使用してカメラのセンサーに光を導入します。入射光は可視光スペクトルだけでなく、近赤外線や赤外線領域の波長も含むことが多いです。収集された光は分散装置によって各波長に分割し、スペクトル情報を含む一連の波長バンドを生成します。

分散された光はハイパースペクトルカメラのセンサーによって検知されます。センサーは各波長での光の強度を検出し、電気信号に変換する部品です。これにより、各波長に対する光の強度情報を取得します。

収集されたデータはスペクトル解析ソフトウェアを使用して処理されます。これにより、各波長での光のスペクトルを表示し、特定の特性やパターンを識別することが可能です。スペクトル解析により、物質の種類や濃度または成分などの情報を抽出することが可能です。

ハイパースペクトルカメラの選び方

ハイパースペクトルカメラを選ぶ際にはいくつか重要な要因を考慮する必要があります。

1. 検出波長域

検出波長域はカメラがキャプチャできる波長範囲です。可視光スペクトルの全域をカバーするカメラは一般的な用途に適していますが、用途によっては赤外・紫外波長域を対象とする必要があります。検出波長域を確認し、用途に合ったカメラを選びます。

2. 波長分解能

波長分解能はカメラが隣接する波長バンドを区別できる能力です。高い波長分解能のカメラは詳細なスペクトル情報を収集可能ですが、高価な場合も多いです。用途によって、必要な波長分解能を考慮してカメラを選びます。

3. フレームレート

フレームレートはカメラが1秒間に何フレームのスペクトルデータを収集できるかを示す指標です。高いフレームレートのカメラは動的なプロセスのモニタリングに適していますが、一般的には高価です。必要なデータ取得速度を考慮してカメラを選びます。

4. 空間分解能

空間分解能はカメラが一度にキャプチャできる領域のサイズを示す指標です。高い空間分解能のカメラは小さな対象物を高精度で分析できます。

本記事はハイパースペクトルカメラを製造・販売するコニカミノルタジャパン株式会社様に監修を頂きました。

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