データインティグリティシステム

データインティグリティシステムとは

データインティグリティシステムとは、製薬業界で求められているデータの完全性と信頼性を担保するために構築するシステムです。

製薬業界においては、行政当局より患者保護の観点から、医薬品開発、試験、認可、製造の各段階のあらゆるデータに対する完全性と信頼性を確保することが強く求められています。膨大なデータを一元的に管理し、データインティグリティーを担保するためのシステムが導入されています。

データインティグリティシステムの使用用途

データインティグリティシステムは医薬品の開発、試験、認可、製造などに係る全てのデータを正確に効率的に管理し、行政当局の審査や査察に的確に応えるために使用されます。

特に、患者保護の観点から、アメリカ食品医薬品局 や欧州医薬品庁などの行政当局が実施する厳格な審査プロセスに適応することが重要です。これらの審査ではデータの完全性や信頼性が厳しくチェックされ、データの改ざん防止が求められます。

2014年に日本がPIC/S (医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム) に加盟したことにより、国内でも同様に厳しい審査基準が適用されるようになりました。医薬品だけでなく医療機器を製造する企業においても利用されており、業界全体にとって重要なツールとなっています。

データインティグリティシステムの原理

1. データインティグリティの要件

データインティグリティは製品 (医薬品) のライフサイクルを通して、データの完全性と信頼性を確保することです。

PIC/S等のガイドラインでは、データインティグリティを証明するためにはALCOAの原則に基づいていることを要求しています。ALCOAの原則とは、データの帰属性 (Attributable) 、判読性 (Legible) 、同時性 (Contemporaneous) 、原本性 (Original) 、正確性 (Accurate) の5つの要件で構成されます。

さらに、データインティグリティにはALCOA+という項目を増やした、より厳しいガイドラインも現れています。

2. データインティグリティシステムの役割

データインティグリティシステムは製薬業界のデータ整合性保証に重要な役割を果たします。紙の管理や個別部門の電子ファイル管理の不安を解消します。ALCOA原則に基づき、ファイル履歴保存、所有権確認、紙データの電子化、生体認証アクセス管理などを統一的に行うシステムです。

データインティグリティシステムの種類

データインティグリティシステムには、主要な目的別に分類することができます。

1. 検査データの収集・解析・管理

検査データの効率的な収集、解析、および管理を支援するために設計されています。様々な検査装置からデータを抽出し、大量の検査データを確認する際やデータの有効活用、不正行為の予防を強化したい場合に特に有用です。

2. 統計的工程管理 (SPC) 

SPCは「Statistical Process Control」の略で、製品の品質保証と工程管理の改善のために、各製造工程のデータを統計的に処理を行う方法のことです。多くの製造工程で発生する異常を見落とさないために使用したり、異常発生時の記録をスムーズに行うために使用されます。

3. データ解析

データ解析は、収集したデータを取り込んで自動化する場合や簡易的に解析を行いたい場合に使用されます。データレビューのために、解析した内容を監視・記録できるものもあります。

4. 検査・実績収集

製造現場の各センサーに収集された記録は、一般的に管理図を用いて可視化して管理します。検査記録や実績をデータ化するために使用されます。

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