方向制御弁とは
方向制御弁は、油圧回路において作動油が流れる方向を制御するバルブです。シリンダやモーターなどの動きをコントロールします。油圧アクチュエータがシリンダの場合は伸縮方向、モータの場合は回転方向、掴み式のアタッチメントの場合はクラウド・ダンプ方向を決めます。
方向制御弁は、主にチェック弁(逆止弁)と方向切換弁が主流です。方向切換弁の制御方法には、機械式、油圧式、電磁式があります。電磁式の出現により、制御の利便性が向上しています。
方向制御弁の使用用途
方向制御弁は、主に建設機械業界で使用されています。油圧ショベルをはじめ、ブルドーザーやホイールローダーなどの製品で、油の流れをコントロールする部品として重要な役割を担っています。
油圧ショベルの場合、1つの油圧ポンプでシリンダ、モータに加えて様々なアタッチメントを駆動させる必要があります。方向制御弁は、油圧ポンプから入力した油の方向を制御し、各アクチュエータへ分配する役割を担っています。方向制御弁は機械の複雑な動きを可能とします。
方向制御弁の原理
ここでは、方向制御弁の主流であるチェック弁(逆止弁)と方向切換弁の原理を解説します。
- チェック弁(逆止弁)
チェック弁は、主にポペット、ばね、入力部および出力部で構成されています。
入力部から入った油がばね力以上になった時、ポペットがばねを押しつけ、出力部に油が流れます。出力部から油が入った場合は、ポペットをばね方向へ押し付ける力が加わらないため、油は入力部へ流れません。 - 方向切換弁
方向切換弁は、主にスプール、入力部のAおよびB、出力部のAおよびBで構成されます。
例えば、方向切換弁の方向の切り替えにより、方向切換弁の先にあるシリンダの伸縮を制御します。
何も入力の信号がない場合、スプールは中立の状態を保っており、出力部A・Bは経路が塞がっているため、シリンダへ油が流れません。次に入力部のAから信号が入力された場合、このA方向からスプールが動き、出力部Aから高圧の油がシリンダへ流れます。シリンダからの戻りの油が出力部Bから入り、油が格納されている容器へ戻されます。入力部のBからの動きも同様で、このようにして方向切換弁が作動します。