MCナイロン

監修:セイブプロセス株式会社

MCナイロンとは

MCナイロンとは、主原料のナイロンモノマーを大気圧下で重合・成型することで6ナイロンの特性を向上させた工業用ナイロン素材です。

MCは「モノマーキャストナイロン」の略で、この材料はナイロン6 (ポリカプロラクタム) を改良して開発されました。工業用プラスチックの一種であり、特に機械部品や耐摩耗性が要求される用途に広く使用されています。

非常に強力で耐久性があるため、部品や構造物が高い負荷に耐える必要がある場合に非常に有用です。耐摩耗性にも優れており、頻繁に摩擦・摩耗にさらされる場合に重宝されます。

また、 摩擦係数も低く滑りやすいため、潤滑剤を必要とせずに摺動部分を動作させることができる場合もあります。金属と比較して軽量であるため、軽量化が求められる用途にも適しています。

MCナイロンの使用用途

MCナイロンの加工例

図1. MCナイロンの使用用途

MCナイロンは主に機械部品、自動車部品、スポーツ用品などにおいて使用されます。各内容は以下の通りです。

1. 機械部品

機械部品では、高い耐摩耗性があることから主に歯車の製造に使用されます。産業機器の減速機ギアなどに使用されることも多いです。また、MCナイロン製の軸受は潤滑剤なしで滑らかに動作するため低摩擦となり、寿命が長いです。

2. 自動車部品

自動車部品では、主にエンジン部品の絶縁体や遮熱材として使用されます。サスペンションブッシュやブッシュリングなどにも使用され、振動と衝撃に対する耐えることが可能です。ブレーキキャリパーガイドブッシュなどのブレーキ部品にも使用されます。

3. スポーツ用具

スポーツ用具では主にテニスラケットのガットに使用されます。高い耐久性や弾性性から、高性能かつ長寿命なラケットとして使用することが可能です。スケートボードのトラックはMCナイロン製のスライドプレートなどを使用する製品も多いです。

MCナイロンの原理

MCナイロンはナイロン6と同様に、ポリマー化によって形成される合成ポリマーです。ナイロン6はカプロラクタムと呼ばれる化合物から合成され、カプロラクタムは環状構造を持つモノマーです。この環状モノマーが重合して長いポリマーチェーンを形成します。

製造プロセスにおいては、モノメチルエチレンクリスタル (MCEC) が使用されます。MCECは特定の化学処理を経て、環状構造を持つナイロン6と似た構造のモノマーに変換される仕組みです。

MCECモノマーはポリマー化反応によって長いポリマーチェーンへと連結されます。この反応には触媒が必要とされ、高温下で行われることが一般的です。ポリマー化反応によってMCECモノマーが連結し、MCナイロンのポリマーが形成されます。

ポリマー化が進行すると、MCナイロンのポリマーは適切な形状に成型されます。成型プロセスには射出成型や圧縮成型などが使用され、最終的な製品の形状や寸法が決定されます。

MCナイロンの選び方

MCナイロンを選ぶ際に考慮するべき主な要素は以下の通りです。

1. 色

MCナイロンの色

図2. MCナイロンの色

MCナイロンは自然なクリーム色または白色をしていますが、プレートや丸棒は青色が一般的です。その他に視認性などの観点から特定の色を選ぶことがあります。

2. 最高使用温度

MCナイロンは高温に対して比較的耐性がありますが、種類によって耐久温度の範囲は異なります。使用する製品が予想される最高温度で使用可能かを確認することが重要です。

3. 寸法

寸法は要件に合わせて選ぶ必要があります。部品や製品の設計に応じてカスタム切削や成型を行うことが可能です。

4. 耐性

MCナイロンは耐摩耗性や耐化学性、耐薬品性、耐摩擦性などの特性を持っています。必要な耐性に応じて適切な種類を選択することが重要です。例えば、摩耗が問題である場合は、耐摩耗性に優れたものを選ぶ必要があります。

本記事はMCナイロンを製造・販売するセイブプロセス株式会社様に監修を頂きました。

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