スイッチングトランス

監修:加美電子工業株式会社

スイッチングトランスとは

スイッチングトランスとは、電源の中でも主力であるスイッチング電源に必要不可欠な部品です。

スイッチング電源は内部で疑似的に高周波の交流を作り出し、高周波で電力の変換・伝達を行うことにより小型で高効率の電源を実現しています。

トランスを最適化することで、発熱もノイズも少ない電源の設計ができます。スイッチング電源を構成する中で一番重要な部品です。

スイッチングトランスの使用用途

スイッチングトランスは、名前の通りスイッチング電源に使用されます。

スイッチング電源はあらゆる電気製品に使用されているので、スイッチングトランスもあらゆる電気製品に使用されることになります。

テレビ、エアコンなどの家電製品、ルーター、ゲートウェイなどの通信機器、複写機、パソコンなどの情報機器、半導体製造装置、加工装置、ロボットなどの産業機器など、あらゆるものに使用されています。

スイッチングトランスの原理

他のトランスと同様に電気エネルギーを磁気エネルギーに変換して、電力の伝達を行います。

伝達された磁気エネルギーを再度電気エネルギーに変換して電化製品を動作させる電力を供給します。周波数を高くすることによりトランスは小型化ができます。

電力の伝達と同時に、不必要な電力は遮断して電気製品を安全に使えるようにする保護機能 (絶縁) も併せ持っています。

コア材について、高周波で電力変換をするので高速で変化する磁束に適した磁性材を使う必要があり、周波数帯によってフェライト、ダストなどの磁性材を使い分けます。スイッチング電源には、フェライトを使うことが多いです。

スイッチングトランスの選び方

製作しようとするスイッチング電源に合わせて、トランスはカスタマイズで設計しなくてはいけません。

かなり難しく煩雑な作業になるので、トランスメーカーと打ち合わせをしながら設計していくことになります。手順をフローチャート式にまとめてみました。

  1. 電源の仕様 (入出力電圧、出力電力、回路方式、制御ICの選定、発振周波数) を決める
  2. トランスメーカーのカタログから、使いたいトランスの形状を選ぶ。
  3. 大きさは回路方式や発振周波数に依存するので、メーカーと相談しながら決めるのが良い
  4. 高い絶縁性を確保したい時には、電力に比べて大きいトランスを使う (メーカーに相談)
  5. ピンアサインについては、基板のレイアウトでの制約とトランスを製造するときの制約があり、こちらもメーカーと打ち合わせをしながら決めるのが良い

また、仕向け地、用途により適用される安全規格が異なります。規格に適合する様にトランスを設計する必要があります。

トランスはカスタム色の強い部品なので、構想段階のときにメーカーと打ち合わせをするのが良いです。最適化を目指すにあたり何度も試作と検証を繰り返す作業になります。

相談しやすいメーカーを見つけることが最適設計の近道です。

本記事はスイッチングトランスを製造・販売する加美電子工業株式会社様に監修を頂きました。

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