ラテックス手袋

ラテックス手袋とは

ラテックス手袋

ラテックス手袋は実験・医療用に使われる、使い捨て (ディスポタイプ) の手袋の一種です。

ラテックスはゴムの木から採取される天然ゴムです。ゴムでできているため、柔らかくフィットする上に、滑りにくいので細かい作業に向いています。

一方、耐油性・耐薬性は低いため注意が必要です。また、一部の人にはアレルギー反応を引き起こす危険性があるため、場合によっては合成ゴムでできたニトリル手袋が利用されています。

ラテックス手袋の使用用途

ラテックス手袋は、一部の実験室や医療現場において使われています。耐油性・耐薬性が低いため、薬品を取り扱う際は注意が必要です。

使用する際に最も配慮すべきことは、アレルギーの危険性です。実験者・医療者の健康はもちろんですが、医療用の場合は、医療を行う患者に危険を及ぼす可能性があります。天然ゴムに含まれるラテックスタンパク質と接触することで、痒み、蕁麻疹など症状を引き起こします。

頻繁にラテックス手袋を使用していると、アレルギーを生じやすいという報告もあるため、実験者・医療者は特に注意が必要です。

ラテックス手袋の原理

使い捨て手袋は、種類やグレードが複数存在するため、用途に応じて適切に選ぶ必要があります。特に医療用手袋は、JIS規格 (日本工業規格) において品質の水準が厳しく決められています。よく使用される使い捨て手袋には、ラテックス手袋の他に、ポリエチレン手袋、PVC手袋、ニトリル手袋があります。

1. ポリエチレン手袋

低価格ですので、気軽に使えるため広く普及しています。食品衛生法に適合しているものが多いため、食品製造の現場よく使われていますが、フィット感はないので細かい作業には向いていません。

2. PVC手袋

塩化ビニールでできており、薬品や油にも強く、幅広い現場で用いられています。フィット感がありますが食品へ使用することはできません。

3. ニトリル手袋

ニトリル手袋は、合成ゴムでできており、ラッテクス手袋と同様に、手によくフィットします。ラテックスアレルギーを避けるため、こちらを使う場合があります。ラテックス手袋よりも、耐油性・耐薬性が高いですが、価格はやや高価です。

ラテックス袋のその他情報

1. 医療用のラテックス手袋

医療従事者が手袋を使用する目的には大きく分けて手術、検査や検診、その他の作業の3つに大別されます。

手術に使用される手袋は厳格な管理が必要であり、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 (薬機法) 」でその製造販売が規制されています。

分類としては、クラス2の「管理医療機器」として取り扱われ、製造や販売には第三者認証機関の認証が必要です。また検査や検診に使用される手袋についても、クラス1の「一般医療機器」として取り扱われ、製造販売は届出制度となっています。

さらに医療用の手袋については品質確保が非常に重要であり、日本の製造においては使用する手袋の用途に応じて、5つのJIS規格が設けられています。それぞれの手袋に関して、寸法 (幅、全長、厚さ) 、ピンホール試験、物性 (引張力、伸び) の検査水準が定められています。

  • JIS T9107「使い捨て手術用ゴム手袋
  • JIS T9113「使い捨て歯科用ゴム手袋」
  • JIS T9114「使い捨て歯科用ビニル手袋」
  • JIS T9115「使い捨て検査・検診用ゴム手袋」
  • JIS T9116「使い捨て検査・検診用ビニル手袋」

一方で、世界的な規格としては、ASTMインターナショナル (英: ASTM International) の認定・発行するASTM規格があります。ASTMインターナショナルは世界最大規模の国際標準化・規格設定機関です。医療用手袋に関しては、以下のASTM規格が知られています。

  • ASTM D3577「Standard Specification for Rubber Surgical Gloves」
  • ASTM D3578「Standard Specification for Rubber Examination Gloves」
  • ASTM D6319「Standard Specification for Nitrile Examination Gloves for Medical Application」
  • ASTM D5250「Standard Specification for Poly(vinyl chloride) Gloves for Medical Application」

2. パウダーフリーのラテックス手袋

ラテックス手袋の中には、着用をスムーズにするために手袋内面にパウダーが塗布されているものがみられますが、医療用のものに関しては、2016年に厚生労働省よりパウダーの付着していない製品への切替えに関する通知「パウダー付き医療用手袋に関する取扱いについて(薬生機審発1227第1号、薬生安発1227第1号)」が発出されています。

背景としては、アメリカ食品医薬品局 (Food and Drug Administration、略称: FDA) により、パウダー付きの医療用手袋の流通を差し止める措置がとられたことにあります。手袋の素材が天然ゴムの場合、パウダーがアレルゲンのキャリアとなりアレルギーを誘発する可能性や、肉芽腫や術後癒着の形成リスクを高める恐れがあり、安全性上のリスク要因になりうると考えられています。

参考文献
https://www.medius.co.jp/asourcenavi/choice/
https://bihin.shop/?mode=f17
https://axel.as-1.co.jp/contents/ap/glove_selection/select2
https://www.foodomejapan.com/user_data/slct/cleanclean/gloves.php
https://allergyportal.jp/provision/latex-allergy/
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000147462.html

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