熱流センサー

熱流センサーとは

Fig1 熱流センサの原理

図1. 熱流センサとは

熱流センサーとは、熱量を検知するためのセンサーです。

熱は高温度部位から低温度部位へ移動します。その熱の移動量が熱流 (熱流束) です。熱流を計測することにより熱の移動量がわかり、その後の温度変化なども推測することができます。

熱流センサーは、センサーを通過した熱量を電気信号に変換しています。フレキシブルで曲面への貼り付けが可能なものや防水のものなどがあり、用途に応じて選択可能です。

熱流センサーの使用用途

熱流センサーは、住宅設備の断熱性能の評価や検査などに使われています。近年は、センサーの小型化、フレキシブル化により住宅設備以外での用途も増えてきました。代表的例として、放熱対策を検討することが挙げられます。

電子部品の内部に熱流センサーを設置することで、電子部品の発熱量を測定可能です。自動車での用途では、エンジンルーム内での熱ロス、車室内でのシートヒーター、エアコンの評価などにも使われています。

熱流センサーの活用では、相変化中の物質の熱流出入量の計測技術に関する情報が報告されています。この計測技術においては、袋状にした熱流センサーの中に測定対象物を封入して、その測定物の熱の流出入量を計測することができます。

また、この袋状の熱流センサーに保冷剤を入れ、熱の流入量を計測して外部端末に保冷能力の残量や保冷効果が持続する残り時間を表示するシステムが開発されています。

熱流センサーの原理

Fig2 熱流センサの原理

図2. 熱流センサの原理

熱流センサーは、センサーの表裏面の温度差からフーリエの法則によって算出される熱流束をゼーベック効果によって発生する電圧で検出することで測定します。フーリエの法則とは、単位断面積あたり、単位時間あたりに流れる熱量は、温度勾配に比例するという法則です。

ゼーベック効果は、ある物質の両端に温度差を与えるとその両端間に電圧が生じる現象を指します。熱流センサ内部の構造は、ゼーベック効果を発揮するN型半導体とP型半導体や熱電対に用いられる銅とクロメルアルメルなどの異種金属を交互に直列に接続することで、1つ1つは小さい電圧しか発生しなくとも複数加算で電圧を増幅して検出を行っています。

熱流センサーのその他情報

熱流センサーの使い方

Fig3 熱流センサの使い方

図3. 熱流センサの使い方

熱流センサーは、設置場所に適したものを選定する必要があります。使用にあたっては、使用可能な温度の上下限を確認し、仕様の範囲内の条件で使用してください。範囲外の温度条件下での使用は、接着面が剥がれてしまうなどの不具合の原因となります。

熱測定対象物に対して設置面に埋め込むか、設置面に貼り付けることにより取り付けます。測定物に熱流センサーを貼り付けると接触熱抵抗の影響により、誤差が発生してしまいます。これを低減するために、接着剤や熱伝導性の高いシリコングリースなどを使用しますが、長期間の取り付けか、短期間の取り付けかによって適宜選択が必要です。

固定する際には、取付面に空気や異物が入らないようする必要があります。なお、熱流センサーを設置する前には、熱流計に温度差をつけて熱流フラックスの方向と熱流計出力の極性を確認します。

参考文献
http://www.etodenki.co.jp/ht_flux/
https://www.denso.com/jp/ja/products-and-services/industrial-products/energyeye/about/
https://www.hioki.co.jp/file/cmw/hdTechnicalData/411/attached_file/?action=browser&log=0&lang=jp&nr=t
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjtp1987/9/1/9_1_54/_pdf
http://www.techno-office.com/file/principle.pdf
https://eko.co.jp/wp-content/uploads/51a43726f8ef43443e195aab5f10f284.pdf
https://www.denso.com/jp/ja/products-and-services/industrial-products/energyeye/info/usage.html
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2019/pr20190129_2/pr20190129_2.html

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