微量分光光度計

微量分光光度計とは

微量分光光度計のイメージ

図1. 微量分光光度計のイメージ

微量分光光度計とは、ごく少量サンプルの測定に特化している分光光度計です。

分光光度計と同様に、サンプル中に含まれる特定の物質の濃度を調べる定量分析を目的としています。サンプル中に含まれるDNAや、タンパク質等の量を分析することが可能で、ライフサイエンス分野において幅広く活用されています。

機器自体も小型で扱いやすく、タッチパネルが採用されている機種やデータの外部出力が容易な機種も販売されており、操作性にも優れているのも特徴です。

微量分光光度計の使用用途

微量分光光度計の主な使用用途は、極めて微量の試料からDNA、RNA、オリゴ核酸やタンパク質を定量することです。主に、ライフサイエンス分野の研究開発において使用されています。

核酸およびタンパク質の定量や純度の評価は、ゲノムDNA調製や、RT-qPCR、サンプルの品質管理などにおいて必要なプロセスです。また、細菌培養増殖のモニタリングや経時的測定による速度論的評価も行われます。

微量分光光度計の原理

分光光度計の原理

図2. 分光光度計の原理

微量分光光度計の基本的な原理は、分光光度計と同じです。分光光度計はサンプルに当てた光が、サンプルを透過してどれくらい届くかを元に、サンプルに含まれる特定の物質の濃度を定量します。濃度が高いほど、サンプルに溶けている物質に光が遮られるため、透過率は下がります。

微量分光光度計の構造

分光光度計は、光源、試料セル (微量分光光度計の場合はサンプルポートなど) 、検出器から構成される装置です。光源から発された光を、分光器を使って単色光に分け、サンプルに照射し試料を通過した光 (透過光) を検知器で測ります。

予め既知濃度溶液を用いて透過光の量 (吸光度) と濃度の検量線を作成し、未知試料の濃度を求めます。

微量分光光度計の種類

微量分光光度計は、一般的にごく少量の試料を測定できることが特徴ですが、その最小ボリュームは装置によって異なります。例えば、0.3μLや0.5μL、1μLなどがあり、用いるサンプルに合わせて適切なものを選択することが大切です。

一方、機器によってはある程度量の多い試料測定も対応できるよう、セルに入れて測定する方法やキュベットボードが使えるものがもあります。また、微量分光光度計の中には、アルゴリズムやプログラムが搭載されているものもあり、高度な分析を行うのに役立ちます。

例えば、波長を指定して経時的に測定できるプログラムが搭載されているものは、速度論的分析を行うのに役立ちます。また、スペクトルのリファレンスライブラリと不純物の予測アルゴリズムを搭載しているものでは、サンプル中の不純物を予測して、より正確なサンプル濃度を算出することが可能です。

微量分光光度計のその他情報

1. 微量分光光度計の試料の取り扱い

通常の分光光度計で用いられるセルと微量分光光度計との比較

図3. 通常の分光光度計で用いられるセルと微量分光光度計との比較

通常の分光光度計では、試料をセルに入れて測定を行いますが、微量分光光度計は試料が極微量であるためピペットでサンプルポートに垂らして測定する方法が一般的です。機器によっては微量以外の測定にも対応しており、通常の分光光度計のようにサンプルをセルに入れて分析する方法やキュベットボードを使用することも可能です。

微量分光光度計では、表面張力によって液滴が形成されることが重要であることが多いため、適切な測定ができるよう、それぞれの製品で仕組みが工夫されています。また、蒸発やコンタミネーションのリスクを軽減するよう、試料が密封空間に閉じ込められるような仕組みの装置もあります。

2. 光源

光源には、キセノンフラッシュランプが使用されていることが多いです。キセノンフラッシュランプの特徴は、輝度の高さと、ランプの発熱量が少ないことです。温度変化に弱いサンプルへのダメージを低減することができます。

参考文献
https://www.hitachi-hightech.com/hhs/products/tech/ana/uv/basic/
https://www.an.shimadzu.co.jp/uv/micro.htm
https://www.ikedarika.co.jp/catalog/item/3519.html
https://www.an.shimadzu.co.jp/uv/support/lib/uvtalk/uvtalk2/basic.htm

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