ワイヤレスセンサー

ワイヤレスセンサーとは

ワイヤレスセンサーとは、工場等で圧力、温度、振動などをモニタリングして、その結果を無線通信で伝えるセンサーのことです。

工場では、安定稼働のために配管を流れる圧縮空気の圧力や、各種の液体や気体の温度、機械の振動など様々な状態の監視を行っています。そのためのセンサが設備のいたるところに設置され、計測されたデータを絶えず確認しています。

ワイヤレスセンサーを使うと工場内の配線の引き回しが不要になり、広範囲から1か所にデータを集めることが可能です。全体の稼働状況が可視化でき、より効率的で正確な設備管理を実現できます。

ワイヤレスセンサーの使用用途

ワイヤレスセンサーは工場の設備の点検・監視に使われる他、工場以外では、環境のモニタリングを始め、ビルや商業施設、民家など様々な場所でも使用されています。

工場では、配管の中の空気を始めとする気体の圧力の測定、気体や流体や機械の温度の測定、機械の振動測定などを目的として、それぞれのセンサーとトランスミッターが一体となった製品が使われています。その他にも圧力センサーと温度センサーが一体となったマルチタイプのワイヤレスセンサーも使用されています。

ワイヤレスセンサーの原理

1. 信号の送信

ワイヤレスセンサーとは、通常の各種センサーにトランスミッターを装備したもので、センサーからの信号をワイヤレスで送信します。ワイヤレスセンサーの通信は、LoRaやZigBee、Bluetoothなどの通信規格を用いた通信や、その他の微弱電波を用いた通信、赤外線通信などを用いて行います。

LoRa (英: Long Range) は、広域・長距離かつ低速・低消費電力という特徴を持つ国際規格の無線通信LPWA (英: Low Power Wide Area) のうち、免許不要のアンライセンスバンド (Sub-GHz帯) を利用する通信です。LoRaを用いたワイヤレスセンサーには、単独で約1km、中継器を介して約2kmの通信が可能なものもあります。

ZigBeeは、ワイヤレスセンサーのネットワークの構築を目的として定められた通信規格です。転送可能距離が短くて転送速度も非常に低速ですが、安価で消費電力が少なく、電池駆動可能な超小型機器での使用に適しています。

Bluetoothも通信距離は限られます。市販のスマホやパソコンは殆どがBluetoothに対応しています。従って、これらの機器を中継局として、さらにWAN (英: Wide Area Network) にデータを送ることが容易です。

2. 電源の確保

ワイヤレスセンサーを駆動するためには電源が必要で、多くの製品は電池式です。市販の電池が使用できるワイヤレスセンサーは導入が簡単ですが、電池の交換が必要になるため、消費電力を抑えられるサンプリング間隔を確保できるデータの収集に向いています。

ワイヤレス給電を使用する方式では、マイクロ波などを使って無線で電力を送信し、センサーがそれを受信して電力に変換します。常時データのサンプリングが必要な場所のセンサーに適していますが、近くに給電装置が必要になることと、他の工場設備との間で電波の干渉が問題になる場合があります。

その他には、光を電気に変えて使用するものや、電力はUSBなどを介して有線で供給を受け、データを電波で送るものなどがあります。

ワイヤレスセンサーの選び方

工場にワイヤレスセンサーを設置する場合、使用環境と電波状況の確認が重要です。さらにDXの観点からは、ワイヤレスセンサーネットワークの構築方法に関する検討も必要になります。

1. 使用環境

工場では様々な装置が稼働しており、電波や振動も多くあるため、センサーや中継器を含めたネットワークの出す電波が周囲の機器に影響を与えないか、あるいはセンサーの発する電波信号が周囲の機器の出す電波から影響を受けないかを検討する必要があります。また、設備のレイアウトなどによって、電波の到達距離が変わることにも注意が必要です。

2. ネットワーク構築の検討

また、工場内にワイヤレスセンサーのネットワークを構築すると、DXの推進による生産性の向上が期待できます。十分な効果を上げるためには、システムの構築手順や、使用するアプリケーションの内容の緻密な検討が必要となります。

ワイヤレスセンサーのその他情報

ワイヤレスセンサーのメリット

有線ではなくワイヤレスのセンサーを導入する利点はいくつかあります。

まず、ケーブルを回す必要がなくなるので、複数箇所にセンサーを設置しやすくなり、レイアウトの変更にも柔軟に対応できます。点検場所が遠くにある場合や、高所や狭所などの点検しにくい場所などでも使用することができます。

また、多数のワイヤレスセンサーを使って、設備の監視データを1か所に集めて来るワイヤレスセンサーネットワークを構築することで、工場全体の設備管理の省力化や合理化、そして可視化が可能になります。これは、工場のDX (英: Digital Transformation) と言われるもので、製造業における業務プロセスの改善と生産性の向上を目指すデジタル技術の活用の一つです。

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