ダイヤモンド焼結体 (PCD)

ダイヤモンド焼結体とは

ダイヤモンド焼結体 (英: Polycrystalline Diamond) とは、高温高圧の条件下で圧縮して結晶化させた人工的なダイヤモンド材料です。

ダイヤモンド合成とも呼ばれ、天然のダイヤモンドと同じ結晶構造を持つ非常に硬い材料を生み出します。天然のダイヤモンドと遜色ない高い硬度を有し、硬い材料の切削や研磨に非常に効果的です。長寿命で耐摩耗性に優れた切削工具や研磨材料として利用されます。

また、摩擦に対しても耐性があるため切削工具として有利です。化学的にも安定しており、多くの薬品や溶液に対して耐腐食性があります。このため、腐食に強い環境で使用することも可能です。ただし、製造プロセスが高度でコストが高い傾向があり、加工が難しい点に注意する必要があります。

ダイヤモンド焼結体の使用用途

ダイヤモンド焼結体の主な使用用途は下記の通りです。

1. 切削工具

高硬度の金属やセラミックスなどの硬い材料用の切削工具として非常に優れ、金属加工などの分野で使用することが可能です。高速切削が可能であり刃の交換頻度も低いため、生産性を向上させます。

2. 研磨材料

非常に硬度が高いことから、硬い材料に対する研磨材料として優れています。宝石の研磨や光学レンズの製造、半導体ウェハの研磨などで使用されます。表面の平滑性と精度を高めることが可能であり、高品質な仕上げが可能です。

3. 掘削工具

ダイヤモンド焼結体による掘削ビットは地下鉱山作業や岩盤掘削など、硬い岩石や鉱石の掘削に用いられます。硬度と耐摩耗性が高いことから、従来のカーバイドビットよりも高速で効率的な掘削が可能です。刃の取替頻度が低いことから、鉱石採掘や土木工事の生産性が向上させることができます。

ダイヤモンド焼結体の原理

ダイヤモンド焼結体の製造には微小なダイヤモンド粉末が必要です。高品質で均一なサイズを持つ原料が選別されます。

高温高圧プレスを使用されることが多く、ダイヤモンド粉末を高温で加熱し、高圧の条件下で保持します。通常は温度が1,000℃以上、圧力は数GPa以上に達します。

プレス内には結晶成長させるための基材として、原料となるダイヤモンド粉末を配置します。その上で高温高圧プレス処理を実施することにより、ダイヤモンド結晶が成長する仕組みです。隣接する粒子同士で結合して均一な構造が形成されます。

ダイヤモンド結晶成長が完了した後、プロセスは徐々に冷却されて圧力が解除されます。これにより、ダイヤモンド焼結体が安定し、所望の物理特性を持つようになります。常温・常圧となると取り出され、製品として取り扱うことが可能です。

ダイヤモンド焼結体の選び方

ダイヤモンド焼結体を選ぶ際には、具体的な用途や要件に基づいて検討することが重要です。以下はPCDを選ぶ際に考慮すべき主な要因です。

1. グレード

ダイヤモンド焼結体は異なるグレードが存在し、それぞれ異なる特性を持っています。一般的には高品質グレードや標準グレードなど、品質・価格によって区分けされることも多いです。また、化学特性が異なる製品も販売されています。製品に応じて導電性や硬度・靭性などの特性が異なるため、各用途に応じて適切な特性の製品を選ぶことが必要です。

2. 寸法

PCDを切磋作工具として使用する場合、直径は加工対象となる材料の性質や作業の要件に合わせて選定します。直径が大きい工具は切削深度が大きい場合に適していますが、制約のある作業スペースでは小さな直径のツールが必要なことも多いです。また、全厚はビットの強度にも直結する要素です。作業条件に合わせて適切な全厚を選びます。

3. 形状

ダイヤモンド焼結体は加工が難しいため、可能な限り使用形状に合わせて購入することが好ましいです。対象となる加工機械に応じて形状も異なるため、事前に確認して要件を伝えます。

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