遮熱塗料

遮熱塗料とは

遮熱塗料とは、日射エネルギーを反射させる成分が入った塗料のことです。

建物や道路などに塗布するほか、農業で使用するビニールハウス外面に塗布し、内部温度の上昇を抑制します。遮熱塗料と関連する「断熱塗料」との違いは、遮熱塗料が日射反射率を高める塗料であるのに対し、断熱塗料は熱伝導率を下げる塗料である点です。

遮熱塗料の使用用途

遮熱塗料は、戸建て住宅・学校・体育館・福祉施設・美術館などの建造物で活用されています。遮熱塗料の正式名称は、「高日射反射率塗料」です。

名前の通り、太陽熱を反射させ、建物などの温度上昇を抑制するために使用されます。その他、通路や駐車場などのコンクリート、アスファルト、ビニールハウス、農業用倉庫、ガラス、車なども用途の1つです。

遮熱塗料の特徴

長所

1. 室温上昇の抑制
遮熱塗料を屋根に塗布した場合と非塗布時とを比較すると、表面温度を約10~20℃下げることが可能です。結果として、室内の温度を4℃ほど抑制できます。

2. 省エネ・節電効果
室内温度を抑制することによりエアコンの使用量を1~2割ほど削減できるため、省エネ・節電効果が期待できます。

3. 耐候性・耐久性の向上
建物表面温度の上昇を抑制できるため、直射日光や熱による建材への損傷を低減させ、耐用年数を伸長できるのも長所です。

短所

1. コストがかかる
遮熱塗料には特殊機能があるため、遮熱機能なしの塗料と比較すると、ややコストがかかります。

2. 経年劣化する
遮熱塗料だからといって塗膜の耐久性が高いわけではないです。経年劣化するため、塗り直しが発生するケースもあります。

3. 断熱効果は期待できない
遮熱機能のみの塗料は、屋内の熱は外に逃げてしまいます。寒さ対策には、断熱機能を備えた塗料が向いています。

遮熱塗料の種類

1. 用途による分類

外壁用/屋根用
外壁用や屋根用の遮熱塗料には、ウレタンやアクリルウレタン系、シリコンウレタン系、フッ素樹脂系塗料などが用いられます。熱遮蔽塗料と組み合わせれば、より遮熱効果を高めることが可能です。

防水面用
陸屋根やベランダなどに用いられる遮熱塗料には、特殊顔料や断熱機能を持つ中空ビーズが配合された製品が多く見られます。

防水面用の遮熱塗料は、従来塗料よりも表面の温度上昇を抑制するだけでなく、耐候性・防塵性・防水性効果が絶大です。

ガラス用
住宅や車のガラス面に塗布できる遮熱・断熱塗料もあります。施工により、ペアガラス以上の遮熱性と断熱性があるため、室内温度を2~4℃ほど下げることが可能です。

コンクリート/アスファルト用
太陽光の熱を蓄えやすいコンクリートやアスファルト専用の遮熱塗料があります。住宅・商業施設の駐車場や遊歩道などに用いられ、利用者の不快感や熱中症のリスクを低減できます。

農業ハウス用
遮熱塗料の応用として、農業で使用されるビニールハウスなどの被覆材に塗布して使用されます。塩化ビニール、プラスチック、ガラスハウスなど温室の素材を問わず、遮熱材を吹き付けることでハウス内の温度上昇を抑制します。真夏でもハウス内の気温を下げることが可能となり、作物の順調な生育に効果的です。

車用
自家用車のルーフやボディ全体に塗布できる、遮熱および断熱機能を兼ね備えた塗料もあります。保冷車、検診車、ミキサー車などにも採用されており、エアコン効率や快適さの向上、紫外線劣化防止に効果的です。

2. 遮熱メカニズムによる分類

太陽熱高反射率塗料
太陽熱高反射率塗料は、塗料に特殊顔料が混入されており、近赤外線領域の太陽光を反射させます。

熱遮蔽塗料
熱遮蔽塗料は、太陽熱高反射率塗料の中塗りとして用いられます。塗料に混入した中空ビーズ素材により塗膜に空気層が生まれ、効果的に太陽熱エネルギーを減少させます。

遮熱塗料の選び方

遮熱塗料を選ぶ際は、遮熱機能のみでよいのか、断熱機能も兼ね備えた製品がよいのかなど、塗布したい場所や目的に応じて選んでください。

足場がないと塗布できない2階建て住宅、ビニールハウスなどへの遮熱塗料の塗布は危険が伴うため、塗装業者への相談をおすすめします。また、複数の業者に見積もりを出してもらい、納得のいく業者に施工依頼することが大切です。

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