イソシアン酸

イソシアン酸とは

イソシアン酸は、HNCOという化学式で表される無機化合物です。常温常圧で無色の気体または液体です。イソシアン酸にはシアン酸と雷酸という2つの異性体が存在します。イソシアン酸は容易にシアン酸へ変化します。

イソシアン酸は、シアン酸イオンに酸を加え、水素イオンを付加することで得られます。尿素から得られる物質であるシアヌル酸を熱分解するという合成方法もあります。

イソシアン酸はベンゼンなどの有機溶媒に可溶で、水にわずかに溶けます。有機溶媒中ではイソシアン酸の形をしばらく保つことができます。

イソシアン酸の使用用途

イソシアン酸には様々な誘導体が存在しています。

イソシアン酸の主要な誘導体の1つが、イソシアン酸メチルです。イソシアン酸メチルは、カルバリルやメソミルなどの農薬の原料として利用されています。

しかし、イソシアン酸メチルはごく微量を吸引しただけで呼吸困難や粘膜への刺激があり、高濃度のイソシアン酸メチルにさらされた場合には肺出血や気管支炎などの重大な疾患が発生します。1984年には、インドのボパールにあるカルバリル工場からイソシアン酸メチルが漏洩し、8000人以上の死者を出しました。

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