臭化メチル

臭化メチルとは

臭化メチル (英: Methyl Bromide、化学式CH3Br) とは、ブロモメタン、ブロムメチル、メチルブロマイドとも呼ばれるハロゲン化アルキルの1種です。

労働安全衛生法では、特定化学物質第2類物質、特定第2類物質、変異原性が認められた既存化学物質、作業環境評価基準、名称等を表示すべき危険物及び有害物、危険物・可燃性のガス、名称等を通知すべき危険物及び有害物に該当します。

労働基準法では疾病化学物質、化学物質管理促進法 (PRTR 法) では第1種指定化学物質に該当します。毒物及び劇物取締法では、劇物に該当するため取扱いには注意が必要です。

臭化メチルの使用用途

臭化メチルは、液化ガスとして販売されており、1980年代では土壌病害防除や雑草防除、検疫処理を行う際に、有用なくん蒸剤として利用されていました。

しかし、1992年に開催された、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第 4回締約国会合において、臭化メチルがオゾン層破壊物質として指定されたことから、先進国では 2005年に、開発途上国では2015年に全廃されています。

検疫処理用、および必要不可欠な用途での臭化メチルの使用については、現在のところ規制対象外です。

臭化メチルの性質

1. 物理的性質

臭化メチルは無色無臭の気体で、分子量は94.94、CAS番号は 74-83-9で登録されています。融点−93.66℃、沸点、初留点及び沸騰範囲4℃、自然発火温度537℃、爆発範囲 10~16vol%の極めて可燃性、引火性が高いガスです。

蒸気密度は3.3 (空気 = 1) と空気より重く、比重は1.730 (液体) です。

2. 化学的性質

水への溶解度は1.75g/100g (20℃) (748mmHg) 、また アルコール、クロロホルム、エーテル、二硫化炭素、四塩化炭素、ベンゼンと混和します。加熱、燃焼により分解し、臭化水素、臭素、オキシ臭化炭素を含む有毒で腐食性のヒュームを生じます。

また、水の存在下で多くの金属を侵す性質を持ち、アルミニウム、亜鉛、マグネシウムを侵して発火化合物を生成し、火災および爆発の危険があるため、注意が必要です。強酸化剤と反応する性質があり、強酸化剤、加熱、燃焼、水との接触を避けて使用、保管を行います。

臭化メチルのその他情報

1. 臭化メチルの製造方法

メタノールと臭化水素酸との相互作用により製造されるのが一般的です。一部の工程では、テトラブロモビスフェニールAとの、同時製造物として製造されます。

2. 臭化メチルの安全性

吸引、飲み込むと有害であり、皮膚および眼への刺激のおそれがあります。また、遺伝子疾患や生殖能または胎児への悪影響の危険性に加え、神経系、呼吸器、肝臓、腎臓、消化器系の障害を引き起こす可能性があり、人体に有害です。

長期や反復ばく露により神経系、心臓、血液障害を引き起こす可能性があることから、取扱い時は適切な保護具、設備が必要です。また、水生生物に対し非常に強い毒性を持つことから、環境への流出を避けるとともに、廃棄時は都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託することが定められています。

3. 臭化メチルの取扱い方法

適切な呼吸器系保護具、保護手袋、眼の保護具、保護衣を着用し、取扱時は飲食、喫煙を避け、取扱後はよく手を洗い、人体への接触を避けます。作業場は、洗眼器と安全シャワーを設置し、ばく露を防止するため、装置の密閉化、または防爆タイプの局所排気装置を設置が必要です。

火災発生時、ガス漏洩が停止出来ない場合は、非常に危険なため消火活動を行いません。安全に対処できる場合に限り、着火源を除去し、火災区域から容器を移動させます。

4. 応急処置

万が一吸引した場合は、空気が新鮮な場所へ移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させ、直ちに医師に連絡します。皮膚、または眼に付着した場合は、大量の水で数分間洗い流し、刺激が継続する場合は医師の診断、手当が必要が必要です。

臭化メチルは、人体の許容濃度を超えても臭気を十分に感じません。高濃度の場合、死に至る可能性があることから、使用時は、換気が行われているか必ず確認を行います。

5. 臭化メチルの保管

保管容器は密閉し、冷乾所にて、日光を遮断し、換気のよい場所で施錠して保管します。熱、火花、裸火、高温などの着火源から離し、強酸化剤との接触を避けることで、安全に保管が可能です。

参考文献
http://jppa.or.jp/archive/pdf/70_03_59.pdf
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/74-83-9.html

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