ホイロ

ホイロとは

ホイロとは、製パンにおいて用いる発酵庫・発酵器です。

漢字では「焙炉」と表記し、元々は食材などを緩やかに熱して、加工するための木箱のようなものを指す言葉でした (煎茶の製造など) 。製パンにおいても、古くは棚を備え付けた木製を作り、その中を蒸気などで温めて、パン生地を入れて発酵させていた歴史があります。

今日でも、製パン工程における最終発酵工程のことを「ホイロをとる」もしくは単純に「ホイロ」と呼ぶ場合もあります。装置としてのホイロは、パン生地を収納する棚を備え、温度と湿度が管理できるようになっている機器です。季節・室内環境に関わらず適切な発酵環境を保つことができます。なお、類似した業務用の装置には、ドゥコンディショナーがあります。

ホイロの使用用途

ホイロは、業務用の製パンにおける発酵工程において適切な発酵環境を維持するために用いられます。製パンにおいて一次発酵をフロアタイムと呼び、二次発酵をホイロと呼ぶことから、一次発酵は室温で行われることが主流でした。

ただし、現在の業務用製パンでは、ホイロやドゥコンディショナーなどの温度管理装置を用いて行われることもあります。また、ホイロと呼ばれることは少ないながら家庭における製パンでも、発酵器が用いられることがあります。

ホイロの原理

ホイロは電力でヒーターを作動させ、庫内を設定温度・設定湿度に保つ電気機器です。基本的に冷却機能がないため、管理できる温度帯は常温以上です。最高温度は45℃から50℃程度が多いですが、中には最高温度90℃の機種もあります。

湿度については、加湿用貯水タンクや加湿用ヒーターが備え付けられており、加湿することができます。通常、環境湿度から99%までのことが多く、環境湿度より低くする機能はついていません。庫内は、パン生地を収納しやすいように棚式やキャビネット式が主流です。製品によってはガラス扉を採用したり庫内灯を備えたりして、庫内が見やすいように工夫されています。

電源は、交流電源単相100V消費電力750W程度のものが多いですが、大型の製品では三相200V電源を必要とする機器もあります。

ホイロの種類

ホイロは大きく、業務用と家庭用に分けることができます。家庭用のものはホイロと呼ばれるのはやや少なく、「家庭用発酵器」として販売されている場合が多いです。家庭用の製品は業務用のものに比べて小型で棚数が少ないものの、折り畳める構造だと収納の邪魔になりません。

業務用のホイロは、今日では後述するドゥコンディショナーで代用されるようになった部分もありますが、細かな部分では下記のような種類があります。

1. リターダーホイロ

冷凍パン生地を解凍して、冷蔵保存し、さらに昇温して最終発酵まで行うことのできる機械です。

2. 台下タイプ

麺台 (作業台) の下がホイロになっている形状です。麺台で生地を分割してすぐに番重ごと下のホイロに入れて、ベンチタイムや最終発酵を取ることが可能です。

3. 乾ホイロ

加湿をしないタイプのホイロです。比較的低温低湿度で発酵させる、フランスパンなどのハード系のパンに用いられます。

ホイロのその他情報

ホイロとドゥコンディショナーと違い

ドゥコンディショナーとは、冷凍から発酵 (ホイロ) まで、庫内の温度・湿度を自動制御することができる機械です。ホイロが保温・加湿機能のみであることと異なり、ドゥコンディショナーには保冷やタイマーなどの機能があることが大きな違いです。「ドゥ」とは、英語でパン生地を表す「dough」に由来しています。

ドゥコンディショナーを用いることにより、パン生地の保冷や解凍、最終発酵までパン生地を良好な状態に保ちながら、設定した時間に合わせて一連の工程を自動で行うことが可能です。作業の省力・効率化につながるため、今日ではホイロの上位互換として業務用にドゥコンディショナーが採用されることも多くなっています。

参考文献
https://www.bgst.jp/doukon-hoiro/
https://www.remacom.com/shopdetail/000000000944/

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