ガス切断機とは
ガス切断機とは、アセチレンガスなどの可燃性ガスと高濃度の酸素を使用して鋼板を切断する機器のことです。
ガス切断は熱を加えて鋼板を酸化させ、それにより鋼板が割れるようにする加工方法で、一般的に鋼材加工において広く用いられています。可燃性ガスを使用する機械で切断中には閃光が発生するため、ゴーグルやマスクなどの安全装備が必要です。日本ではガス溶接やガス切断を行うには、労働安全衛生法に定めるガス溶接技能講習で学科講習と実技講習を受け、資格を取得する必要があります。
ガス切断機には一般的な手動式のものや、CNC (コンピュータ数値制御) による自動切断機があります。自動切断機はコンピュータで事前にプログラムされたカットラインに沿って切断を行うため、高精度で効率的な切断が可能です。また、手動式のガス切断機は軽量で持ち運びが簡単であるため、作業現場での使用に適しています。
ガス切断機の使用用途
ガス切断機は一般的に鋼材のみを切断でき、厚板やパイプなどの大型鋼材の切断に使用されます。しかし、手で保持して使用するため精度はそれほど高くありません。一方、大型のガス切断機では火口が数十本あり、一度に複数枚の鋼板を高精度で切断が可能です。
また、NCガス切断機として切断位置をプログラム化し、複雑な形状を自動で切断できる機種も存在しています。このため、船舶や建築、自動車産業など、鋼材の加工が必要な産業分野において広く使用されています。ただし、ガス切断機を使用する場合は可燃性ガスを使用するために安全面には十分注意が必要であり、適切な装備や技術の習得が求められます。
ガス切断機の原理
ガス切断機はアセチレンガスと酸素ガスを混合し、予熱炎で鋼材を加熱し、高圧の酸素ガスで鋼材を燃焼させて切断します。アセチレンボンベと酸素ボンベから供給される2種類のガスが切断機先端の火口から放出されます。予熱炎用のガスに専用ライターで着火し、鋼材に近づけると予熱炎で鋼材の温度が上昇します。
予熱炎の中心には高濃度の酸素が噴出しており、高音になった鋼材は酸素が供給されることにより燃焼し液体となり、高圧の酸素によりそれらが周りに吹き飛ぶことで鋼材の切断が可能です。このように、予熱炎で鋼材を加熱し高圧の酸素ガスで鋼材を燃焼させて切断することにより、鋼板が切断されていきます。
ガス切断機の利点は、厚い鋼板が切断できることや、必要機材が少なく可搬性に優れることが挙げられます。また、ガス切断には電気などのエネルギー源が不要です。ガス切断機とガスボンベがあれば良いため、現場での作業に適しています。ただし、ガス切断機は精度が出にくい場合があり、高精度な切断が必要な場合には、レーザ切断などの別の方法の検討が必要です。
ガス切断機の種類
ガス切断機は主に、手動式と自動式の2種類が存在します。切断方法や切断材料によって選定が必要です。
1. 手動式のガス切断機
手動式のガス切断機は、人が手で保持して使用するタイプで、比較的小型で移動が容易な機種が多くあります。手動式のガス切断機は、予熱炎で鋼材を加熱し、高圧酸素で燃焼させることによって切断するため、比較的精度が出にくいというデメリットがありますが、手動式であることから、場所を選ばずに切断作業が可能で、使い勝手が良いというメリットもあります。
2. 自動式のガス切断機
自動式のガス切断機は、NCガス切断機やプラズマ切断機など、様々なタイプがあります。自動式のガス切断機は、プログラムで切断位置を指定し、機械が自動的に鋼材を切断するため、高精度で複雑な形状の鋼材を効率的に切断が可能です。自動式のガス切断機は、機械化されていることから、比較的高精度な切断が可能であり、大量生産に向いているというメリットがあります。