テトラメチルアンモニウムヒドロキシド

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドとは

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの基本情報

図1. テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの基本情報

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドとは、化学式(CH3)4NOHで表される、最も代表的な第四級アンモニウム塩の1つです。

化学物質審査規制法 (化審法) では、「優先評価化学物質」、環境基本法では「水質要調査項目」、毒劇法では「毒物」に指定されています。神経や筋肉に影響を及ぼし、致死的な呼吸困難や筋肉麻痺を起こします。そのため、皮膚に触れた場合には、強塩基性による化学火傷とともに、神経毒性があるため、注意が必要です。

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの使用用途

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドは試薬・触媒をはじめ、半導体・印刷などの分野で、幅広く用いられます。また、相間移動触媒、重合・縮合反応の触媒、有機窒素化合物製造の触媒、ガスクロマトグラフィー前処理剤、ゼオライト合成などの有機構造規定剤に使用可能です。

さらに、工業用途として、写真・印刷薬品、集積回路用ポジフォトレジスト現像液・エッチング剤・洗浄剤、粘土の解膠剤、繊維の表面処理剤、二次電池用アルカリ電解質に用いられます。

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの性質

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの無水物は、単離されていません。一般的には、安定した固体の五水和物の(CH3)4NOH・5H2Oや三水和物の(CH3)4NOH・3H2Oとして扱われます。2%や25%の水溶液やメタノール溶液も流通しています。

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの固体や水溶液は無色です。水溶液は強塩基性を示します。五水和物の融点は67°Cで、135〜140°Cで分解します。

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの構造

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのモル質量は91.15g/molです。テトラメチルアンモニウムイオン ((CH3)4N+) と水酸化物イオン (OH) から構成されています。

別称に、TMAH、TMAOH、TMNOH、N,N,N-トリメチルメタンアミニウム・ヒドロキシド、水酸化テトラメチルアンモニウム、AZ-726、メガポシトCD14、ミクロポシトCD26、トクソSD20があります。

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのその他情報

1. テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの合成法

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの合成

図2. テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの合成

最も古いテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの製造法は、無水メタノール中で塩化テトラメチルアンモニウムと水酸化カリウムを混ぜる方法です。この苛性アルカリ分解法は現在でも一般的に使用されますが、塩素イオンやカリウムイオンが5,000ppm程度混入します。

陽イオン交換膜を用いた塩化テトラメチルアンモニウムの電気分解法は品質が高く、金属イオンが0.1ppm以下で、塩素イオンが10ppm以下になります。それ以外にも、シュウ酸塩、ギ酸塩、メチル炭酸塩のような有機酸テトラメチルアンモニウム塩水溶液を電気分解して生成可能です。

そのほか、塩化テトラメチルアンモニウムを硫酸によって硫酸塩にして、水酸化バリウムで処理すると得られます。

2. テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの反応

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの反応

図3. テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの反応

強酸や弱酸によってテトラメチルアンモニウムヒドロキシドは、酸塩基反応が起こって酸の陰イオンと交換します。メタセシス反応を用いて、さまざまなテトラメチルアンモニウム塩を生成可能です。

具体的には、チオシアン酸アンモニウムからチオシアン酸テトラメチルアンモニウムが得られます。生成する水とアンモニアを蒸発除去すると反応が進みます。

テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液を減圧濃縮すると、五水和物の針状結晶を生成可能です。脱水濃縮を続けると、三水和物を経由して一水和物になり、135〜140℃でジトリメチルアミンやメチルエーテルに分解します。

参考文献
http://www.chemicoco.env.go.jp/detail.php?chem_id=571&lw=13
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/75-59-2.html

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