ペリルアルデヒド

ペリルアルデヒドとは

ペリルアルデヒドの基本情報

図1. ペリルアルデヒドの基本情報

ペリルアルデヒドとは、無色かうすい褐色の澄明な液体で、特異臭のある有機化合物です。

ペリルアルデヒドはシソの精油の約半分を占める成分で、多くの植物やそれらの精油に含まれています。ペリルアルデヒドの名称は、シソ属の学名であるPerillaに由来しています。

ペリルアルデヒドのCAS登録番号は2111-75-3です。国内法規上の適用法令は消防法のみで、「危険物第四類 第三石油類 危険等級Ⅲ」に指定されています。

ペリルアルデヒドの使用用途

ペリルアルデヒドは、食品の香料として主に使用されており、天然のシソからも精油される物質です。シソの葉は、各種ビタミンの宝庫としても知られていましたが、シソに含まれるペリルアルデヒドが、嗅覚を刺激して効能をもたらしていたことが後になって判明しました。

その効能の1つに抗菌作用があることから、治療の分野でも抗炎症効果をもつ治療薬として、ペリルアルデヒドは使われるようになっています。

ペリルアルデヒドの性質

ペリルアルデヒドの鏡像異性体の構造

図2. ペリルアルデヒドの鏡像異性体の構造

ペリルアルデヒドの沸点は237℃、密度は0.953g/cm3です。ペリルアルデヒドはメタノールエタノールと混和しますが、水には極めて溶けにくいと言えます。

ペリルアルデヒドの化学式はC10H14O、分子量は150.22で、ペリルアルデヒドはホルミル基を有するモノテルペン (英: Monoterpene) です。モノテルペンとは、テルペンの分類の一つであり、2つのイソプレン単位から構成され、C10H16の分子式を有しています。

モノテルペンには線形のものと環を含むものが存在します。酸化や転位反応などの生化学修飾により、モノテルペノイドを生成可能です。ペリルアルデヒドには (-) -ペリルアルデヒドと (+) -ペリルアルデヒドという鏡像異性体が存在します。シソ中に含有されるのは (4S) -体 (または(-)-ペリルアルデヒド) で、市販されているものも同様です。

ペリルアルデヒドのその他情報

1. ペリルアルデヒドの香り

シソの成分の大半を占めているのが、ペリルアルデヒドです。シソの持つ独特な香りの成分は、ペリルアルデヒドのほか、リモネン (英: limonene) やピネン (英: pinene) などの精油成分によるものです。

シソは薬味や添え物に用いられることが多い香味野菜で、大葉とも呼ばれています。ヒマラヤや中国南部が原産で、日本には平安時代に伝わったとされています。

2. ペリルアルデヒドの効果

ペリルアルデヒドには、強い抗菌作用や防腐効果があります。食中毒を予防して、消化酵素の分泌を促し、食欲を増進させて胃の調子を整える作用を持っています。そのため、よくシソは刺身のつまとして添えられることが多いです。

シソの香りの主成分であるペリルアルデヒドは、刻むことで香りが引き立って、より効果が出ます。例えば刺身などに添えるときも細かく刻んで食べると良く、漬物やサラダに加えた場合にもより香りが楽しめます。シソは薬味として使用されることが多いため、一度の摂取量は多くありません。

3. ペリルアルデヒドの関連化合物

ペリルアルデヒドの関連化合物の構造

図3. ペリルアルデヒドの関連化合物の構造

純粋な化合物やシソから得られるペリルアルデヒドを豊富に含んだ揮発性のオイルは、香り付けのための食品添加物や香料の鋭さを与えるために利用されています。さらに、ペリルアルデヒドから合成されるペリラアルコール (英: perillalcohol) も、同様に香料として使用されます。

その一方で、ペリルアルデヒドのオキシム (英: oxime) であるペリラルチン (英: perillartin) は、紫蘇糖の主成分です。ペリラ・シュガー (英: perilla sugar) の名前でも知られており、化学式はC10H15NOです。このペリラルチンは、砂糖の主成分であるスクロースの2,000倍も甘みを持つことが明らかになりました。以前日本で発売されたピース (英: Peace) などのタバコ用の甘味料として、ペリラルチンは用いられていました。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0116-2416JGHEJP.pdf
https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/dt/html/GI_10_001/GI_10_001_2111-75-3.html

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