ボールローラーとは
ボールローラーとは金属球などのボールを回転可能かつ表面を一部露出させた状態で保持した部品であり、フリーベアやボールキャスターと呼ばれる場合もあります。
1自由度の回転機構と1軸のローラを使用した一般的なキャスターとは異なり、360度あらゆる方向に滑らかに回転することが可能です。
任意の方向に自在に移動可能とするための台車のキャスターや梱包後の製品を直角・斜め方向にスムーズに移動させるための搬送台として多く使用されます。
ボールローラーの使用用途
ボールローラーはあらゆる方向に滑らかに回転するため、台車のキャスターに使用されます。平行に配置した2つのタイヤに加えてボールローラーを必要数取り付けることで簡単に向きを変えることのできる台車となります。とりわけタイヤ駆動に対する移動の応答性が要求されるロボティクス分野においては、一般的なキャスターよりもボールローラーが多く使用される傾向にあります。
また、台上に上向きで複数個設置することで直角方向の移動や回転が用意なコンベアとして使用することもでき、主に梱包後製品の仕分け部分などに使用されています。
ボールローラーの原理
ボールローラーは露出する回転球(メインボール)を複数個の小さな球(サブボール)または3本の回転シャフトで支持することで、回転球が保持された状態で滑らかに回転します。これにより対象物表面との接触状態における摩擦係数は非常に小さくなり、抵抗力が大幅に減少します。
一方でキャスターとして使用する場合には滑らかに移動できる反面、ゴムや樹脂などの柔軟材料を表面に有する一般的なキャスターとは異なり表面の摩擦係数は小さく弾性変形もほとんどしないため、段差に対する走破能力は低くなります。
また、粗い表面に対してはボールに傷がつくことで抵抗が大きくなる点、異物の混入により回転しなくなる可能性がある点などから、屋外で長期間使用する場合には信頼性は大きく下がります。
ボールローラーの材質はスチールやステンレスの他、自己潤滑性を有するエンジニアリングプラスチックであるPOMなどが使用されます。金属製の場合にはメインボールとサブボールの摩耗を軽減するための潤滑油が注入されていることが多く、洗浄により潤滑油を落とした場合には摩耗による発塵の恐れがあることから、クリーンルームなどで使用する場合にはPOM製のボールローラーの使用が推奨されます。
参考文献
https://www.nbk1560.com/resources/machine_element/article/ballroller-001/
https://www.freebear.co.jp/home/products/freebear_top/